元近鉄の天理・中村良二監督(52)が甲子園交流試合を見てほしかったのが、同じ近鉄OBで現参議院議員の石井浩郎氏(56)だった。

試合後のインタビューでは「甲子園で終われるのは幸せなこと。夏の試合ができるなんて思っていなかった」と目頭を熱くした。

センバツ中止決定後、石井氏から電話があった。「このまま終わらせたら、本当にかわいそうだろ」。石井氏は球児を思い、力になろうとしてくれた。甲子園交流試合が決定した6月10日の夜には「よかったな」と電話をもらい、中村監督は感謝を伝えた。「普段は連絡を取っていなくてもこういう時にパッと何かまとまるというのが近鉄のOB。いい関係です」と話す。

中村監督は天理から86年ドラフト2位で近鉄入りし、プロ3年目の89年に1軍デビュー。その年は9試合の出場だが、優勝旅行に参加した。この年の勝率は2位オリックスと1厘、3位西武とは2厘差。4月19日西武戦で1点を追う9回2死一、二塁の代打で登場し、逆転打を放った。先輩の金村義明氏(56)らが「良二の1本がなかったら、優勝はなかったですよ」と推してくれたから。近鉄球団は04年限りで消滅したが、猛牛戦士の友情は続いている。【石橋隆雄】