春季高校野球新潟県大会が26日に開幕する。昨秋Vの日本文理は2回戦から登場し、28日の初戦は新潟江南と新発田農の勝者と対戦する。打線のけん引役は本田愁聖外野手(3年)。昨秋の県大会では帝京長岡との決勝で先頭打者弾を放つなど、チームただ1人の2本塁打をマークした。従来より低反発の新基準バットが導入される今大会。新バット“第1号”と、秋春連覇を目指す。

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本田の表情に不安はなかった。新基準バットで臨む初の公式戦。「(バットの)芯を食えば打球自体はそんなに変わりはない。始めの頃と比べればヒットも長打も出始めてはいる。自信はついてきているし、バットが変わったから打てないなんて言い訳はしたくない」。攻撃の中心役を担う男の口からは、自覚と責任感がにじみ出ていた。

新バットに対応するため、肉体改造にも取り組んできた。毎食1キロのご飯を食べる食トレに加え、ウエートトレを増。昨秋74キロだった体重は、8キロ増の82キロまで増えた。「だいぶ大きくなった感じはあります」と、パワーアップへの手応えを口にする。

新バットへの対応の難しさは感じている。最大径が67ミリから64ミリに細くなったことで、「捉えた」と思った打球がファウルになることが多くなった。一方で、バットが変わっても、ヒットゾーンが狭くなったわけではない。確実性の向上に努めながら「ライナー性で野手の間を抜いていくような打球を意識している」とうなずいた。

昨秋は、1番打者としてファーストストライクから積極的にスイング。その姿勢で打線に勢いをもたらしてきた。この春も信条である「初球から思いっきり」は変わらないが、チームファーストの心構えも忘れていない。「同じ1番として使ってもらえるなら、四球でも何でも全試合で出塁して、走って、相手を崩していきたい」と、力を込めた。

その上で狙う目標が、大きな放物線。「ヒットを狙いつつ、その延長として県で第1号を打てたら」。秋春連覇へ、球場に快音を響かせる。【大島享也】

○…攻守のまとめ役を担うのが宇野純平捕手(3年)だ。昨秋は一塁手や外野手での出場だったが、この春から本職の捕手にカムバック。「1年秋以来の捕手ですし、投手陣と話し合いながら、しっかりリードしてあげたい」と意気込んだ。新基準バットも配球に生かす構えで「芯を外せば打球は飛んでいかない。変化球もうまく使いながら芯を外していきたい」とイメージ。扇の要として、丸山慶人投手と倉石健亮投手(ともに3年)のダブルエースら投手陣を引っ張っていく。

◆新基準バット 「打球による負傷事故(特に投手)の防止」と「投手の負担軽減によるケガ防止」などが目的で、これまでより低反発化された。バットの太さは最大径は67ミリから64ミリと細くなり、打球を捉える打球部の肉厚は従来の約3ミリから4ミリ以上に設定。バットがへこむことで強い反発力を生み出す「トランポリン効果」が減衰し、打球の初速が3・6%落ちることが実証されている。導入された今春のセンバツでは大会本塁打が前回の12本から3本に減少した。

◆本田愁聖(ほんだ・しゅうせい)2006年(平18)5月12日生まれ、東京都出身。小2から地元クラブで野球を始める。滝野川紅葉中では豊島シニアに所属し、3年時には東東京選抜に選出された。日本文理高では2年夏に三塁手としてメンバー入り。179センチ、82キロ。右投げ右打ち。