日本ハム大谷翔平投手(20)の開幕7戦7勝はならなかった。3-0で迎えた7回、ソフトバンク打線につかまり、5失点で途中降板。8回に中田の同点本塁打で今季初黒星は免れたが、1イニング5失点は自己ワーストタイだった。チームは首位攻防第1ラウンドを9回サヨナラ勝ちで首位に再浮上した。

 個人的な感情に、ふたをした。大谷がヒーローへと駆け寄り、歓喜の列に加わった。「申し訳ないなと思います。何とか勝ってくれてよかった」。7回に崩れて大量5失点。球団史上初の7戦全勝という快挙も幻になったが、サヨナラ勝利に、救われた。

 完投勝利も視界にあった。6回を終えて、88球、許した安打は1本のみ。「球数も抑えられた。完璧だった」。オンとオフを使い分ける熟練の投球術。1回2死二塁、内川への4球目が最速158キロをマークする一方で、無走者時には16球が140キロ台のストレートと、状況に合わせて力を加減した。「手応えを感じながら投げていました」。三塁すら踏ませなかった。

 事態は、急転した。「あの回に集中してしまった。悔いが残る」。3点リードの7回。2死を奪ってから、制球が狂いだした。明石へ与えたストレートの四球が異変の予兆。続く福田、吉村へは、慎重になってコースが甘くなり、連打を浴びた。あっという間に、差は1点。「疲れはそんなにはなかった」というが、立て直しはきかない。今宮を再び四球で歩かせて2死満塁とすると、自らの暴投と中村晃の中前打で逆転を許した。「2死から粘られて根負けしてしまった。あと(アウト)1つ取れる技術がなかったのかなと思う」。降板を告げられると、ベンチを素通りし、ダッグアウト裏に直行した。

 栗山監督は「死ぬほど怒ってるのが分かった。悔しさはみんなに伝わった。必死になってガムシャラにやる。(仲間への)メッセージになったと思う」。中田の同点打、西川のサヨナラ打につながった。助け合うチーム力が、結集した。

 ソフトバンクを直接たたき、首位の座を再び奪い返した。「ホッとはしていないです。自分に対する悔しさや腹立たしさはある。打席の中で取り返したいと思う」。投打「二刀流」をこなす大谷には、すぐに挽回のチャンスが来る。次は自分が、仲間に恩返しする番だ。【本間翼】

 ▼日本ハム大谷が7回に自己ワーストタイの5失点を喫した。1イニング5失点は、13年7月30日ロッテ戦(QVCマリン)の4回、14年5月20日中日戦(札幌ドーム)の6回に続き3度目。