力投は実らなかった。「日本生命セ・パ交流戦」。広島のエース前田健太(27)は西武戦で7回1/3を投げるも、11安打4失点で5敗目を喫した。今季自己最多の135球を投じながら、最後に痛打を浴びた。調子が悪いなかでも試合は作ったが、エースの役割はそこではない。チームは今季ワーストタイの借金8。エースの力投をムダには出来ない。

 前田の135球目は、西武秋山のバットの真芯に当たった。鋭い打球が三塁線に飛んでいく。飛びついた三塁手木村昇のグラブの先を抜けた。一瞬の静寂の後、2点適時二塁打に左翼スタンドが騒ぎ出した。前田はベースカバーに走った本塁付近で、歓声がはね返るドームの天井を見つめた。無情だった。力投は実らなかった。

 「甘くなってしまったところがあるので。もう少し厳しくいきたかった? そうですね。今日は修正できなかったです。どのボールも難しいというような感じだったので」

 調子は良くなかった。制球が微妙にずれていた。味方が1点を先制した直後の2回には無死から3連続長短打で追いつかれ、3回には2死二塁からメヒアに右翼フェンス直撃の適時二塁打を浴びた。4回まで毎回安打を許し、前半5回まで毎回走者を背負った。ファーストストライクから積極的に振ってくる西武打線が、前田を襲っていた。

 エースのプライドと貫禄がある。粘り腰で、投手戦に持って行った。前半5回までで95球を投じていたが、6回、7回と10球ずつで終わらせた。チェンジアップなど変化球を多めに使ってしのいだ。救援陣には不安がある。打たれた8回は115球を投げてなお向かったマウンドだった。「僕の失敗」と振り返るけん制ミスもあり、1死満塁。最後は秋山への2球目146キロで散った。

 今季最多の135球の熱投も報われず、結果的には今季ワーストタイの11安打、ワーストの4失点。ビジターでは6戦勝ちなしとなった。1点でも援護があれば…。だがエースは「勝てなかったのは悔しい」と自らを責めただけだった。チームも今季ワーストタイの借金8。緒方監督もまた「最後もう一踏ん張りというところだった」と悔しがった。エースの背中から感じたものは、残りの試合で爆発させる。【池本泰尚】