売り出し中の日本ハム杉谷拳士内野手(24)が、値千金の一打で試合を決めた。同点で迎えた8回2死一、三塁、代打で登場。投手強襲の内野安打を放ち、勝ち越した。大谷の途中降板、3番手宮西の同点被弾など、漂っていた嫌なムードを一掃。その後の大量得点につなげ、チームを連勝に導いた。

 泥臭く、1点をもぎ取った。杉谷の執念が打球に乗り移った。同点の8回2死一、三塁。外角低めのフォークに食らいついた。オリックス前田を強襲する、決勝の適時内野安打。「いい当たりではなかったけど、僕の気持ちが勝ったかな」。全力疾走で一塁を駆け抜けたヒーローは、気持ちよさそうに息を切らした。

 思い切りの良さと、冷静な思考がシンクロした。相手捕手の伏見とは、昨オフに沖縄で合同自主トレをした。「性格もよく知っているから、同じ球を続けてくるかなと」。予想通り、3球続いたチェンジアップをとらえてみせた。

 試合開始直前には幸運アイテムを受け取った。この日の始球式に登場した少女から「頑張ってください」と、4つ葉のクローバーがパウチされた手づくりの御守りをプレゼントされた。裏面には「打率アップ!!」と書かれていた。「ずっとポケットに入れてプレーしていました。明日からの遠征でも持っていきます」と、不思議なパワーをくれた、かわいらしいプレゼントに感謝した。

 無垢(むく)な思いに応える努力も重ねてきた。2月の春季キャンプでは毎年持ち込んでいたゴルフセットを封印。「(休日に)ゴルフする時間があったら練習します」と、休日返上練習を続けた。必死の思いは結果となって着実に現れ始めている。

 チームはリーグ戦再開後、初の連勝で貯金も再び2桁の「10」となった。「僕は毎日ポジティブに生きている。ポジティブにいきます!」。9回の右翼守備で目測を誤ったプレーは反省したが、チーム一の元気印が再び勢いをもたらした。【木下大輔】