巨人は5日、東京・大手町の読売新聞東京本社で緊急会見を開き、福田聡志投手(32)が野球の賭博行為に関与していた疑いが極めて強いと公表し、コミッショナーに告発すると発表した。
(会見は久保球団社長と森田法務部長が出席。冒頭は久保社長が自ら説明)
久保 当球団所属選手(福田)が野球協約の有害行為に該当する行為を行った疑いが明らかとなり、NPBの熊崎コミッショナーに告発することといたします。当球団の選手がプロ野球の信用、信頼を失墜させる行為をしたことに関し、深くおわびさせていただきます。また、クライマックスシリーズ、日本シリーズというプロ野球界にとって大切な時期にこういったお知らせをすることについても、おわび申し上げます。告発については一両日中に行いたい。
賭けの相手(A氏)は当球団所属の笠原の知り合いで、福田に紹介したのも笠原でした。このため、笠原についても野球協約に抵触する可能性を否定できず、本日、コミッショナーに報告させていただきました。福田、笠原両名につきましては、球団は本日付で謹慎処分とした。今後、コミッショナーの裁決を待ち、厳正に対処する方針です。
(この後、久保社長と森田法務部長に質疑応答)
-A氏は暴力団関係者という認識でいいか
森田 今のところそういうような情報はありません。
-他選手にも広がることはないのか
森田 名前が出てきているのは野球賭博に関してはAさんと福田だけであります。
-賭博のかけ方は勝敗以外にあるのか
森田 賭けの対象は勝ち負けだけだと聞いております。
-賭けの対象に含まれていた巨人戦は、どの試合か
森田 記憶が定かでないということで、試合の特定には至っておりません。
-福田は野球協約に違反しているという自覚があったのか
森田 野球を賭け事の対象にするのは非常に悪いことだとは認識しておりました。野球協約の何条に違反するかを理解しているかは調べていません。
-9月30日のA氏がジャイアンツ球場を訪れた時の状況は
森田 入り口のガードマンに止められて、どういう用事なのかをお尋ねしたら「福田に貸しているお金を返してもらいに来た」と。
-球団はA氏から直接事情を聴いているのか
森田 最初に球場にいらした時、私が1度、お会いさせていただきました。
-賭けのやりとりの事実関係は把握していたのか
森田 いえ、ただ借金があるということだけでした。
-笠原選手とA氏はマージャン仲間ということだが、こちらは賭博はしていないのか
森田 賭けマージャンだったとは聞いています。
-他の選手に再発防止を含め注意喚起はしたか
久保 選手の綱紀粛正というのは、すぐにもやらなくちゃいけないので検討します。2度とこういうことを起こしてはならない。
-賭けが暴力団やフロント企業につながっているのか
森田 福田の認識では、あくまでもAさんとの間でやっていたばくちだとのことです。
-笠原は福田が野球賭博をしていたのを知っていたのか
森田 紹介の経緯についてはよく分かりませんが、笠原は福田が野球に関して賭けをやっていた認識があったように思っております。
-福田と笠原は当面は謹慎処分ということだが、解雇処分もあり得るか
久保 NPBの方で事実の確定をした上で、野球界としての処分が決まると思います。それを待って、決めたいと考えております。(解雇処分も)当然あり得ると思います。
-賭けた額は最終的に百数十万とあるが、福田投手が1度でも取り立てに応じたことは
森田 お金のやりとりは1度もありませんでした。
-賭けはメールでやりとりするのか
森田 主にメールのやりとり、時には携帯電話の通話でやっていたようです。
-今回の件でクライマックスシリーズを辞退するようなことは
久保 それは現時点では考えておりません。
◆黒い霧事件 1969年(昭44)10月、プロ野球選手の八百長事件関与の疑惑が浮上し、西鉄ライオンズの選手が関係していたことが発覚した。70年5月、コミッショナー委員会の諮問会で、敗退行為を誘われたものを含めて西鉄では池永投手ら4人が永久失格処分を受けた。他球団でも東映の選手、オートレースの八百長に絡んだ中日の選手も永久失格となった。スター選手と暴力団員との「黒い交際」が相次いで表面化。西鉄オーナー辞任など社会的事件に発展した。池永氏は現金100万円を預かったことは認めたが、八百長への関与は一貫して否定。復権へ向け、嘆願書提出や署名運動などの活動が行われた。05年に永久失格処分の解除が決まり、35年ぶりに復権した。
◆角界を舞台にした野球賭博事件 2010年5月、週刊誌報道で大関琴光喜(当時)が野球賭博に関与し、口止め料を要求されていることが発覚。同年6月、日本相撲協会は力士ら29人が野球賭博をしていたと発表。警視庁は大関への恐喝容疑で元力士を逮捕。同年7月、日本相撲協会が琴光喜を解雇した。警視庁は相撲部屋など数十カ所を家宅捜索。指定暴力団山口組系組員も大関への恐喝未遂の疑いで逮捕された。
11年3月、警視庁は大関や親方ら26人を賭博容疑で書類送検、胴元のトレーナーを賭博開帳図利容疑で書類送検。東京地検は同月、賭博容疑の26人を嫌疑不十分で不起訴とした。