ヤクルトが誇る安打製造機が、均衡を打ち破るくさびを打った。川端慎吾内野手(28)が6回、右前打で出塁すると、無死満塁から雄平の遊ゴロ併殺の間に先制のホームを踏んだ。この日は28歳の誕生日。3安打の活躍で自ら花を添えた。今日17日、第4戦で一気にCS突破を決めにいく。

 技術が詰まっていた。川端の安打に、スタンドから感嘆の声がもれた。巨人菅野との勝負。3打席とも巧みなバットコントロールで安打にしてみせた。第1打席、内角低めのスライダーをカットしにいった。それが三塁手の頭を越える安打になった。「第1打席にヒットが出ると、やっぱり乗っていけますね」。安打ショーの幕開けになった。

 好投手の菅野を相手に速い球を意識していた。2打席目は146キロ速球を遊内野安打にしたが、3打席目はカーブを引きつけて右前打にした。「直球狙いでカーブが打てたということは、調子がいいんだと思う」。首位打者に輝いたシーズン以上の安打量産で、3戦連続複数安打の11打数7安打。神がかっている? という問いに「そうですね。しっかり振れていると思う」と、うなずいた。

 この日が誕生日だった。バレンティンから年齢を聞かれ、28歳だと答えると「26歳ぐらいだと思った」と驚かれた。安打を打ちまくる獅子奮迅の働きが、最強助っ人からは若々しく映ったようだ。比屋根からは冗談で腕の毛をむしってプレゼントされた。おかげ? で3安打。幸運の腕毛? だったかもしれないが、気持ち悪かった。「幸運? そんなはずはないです。絶対違いますよ」と全力で否定して笑わせた。

 誕生日に試合をするのはプロ1年目の06年以来。その時は阪神井川から右前打を放っている。この日も、ファンの祝福にこたえながら球場入りし、結果を出してみせた。だが、お祝いは先にとっておく。「家族が誕生日のお祝いをしてくれると思いますが、全部終わってからでいいです」と言った。もう1試合勝ってCS突破を決めたい。個人的なお祝いは、その後でいい。【竹内智信】

 ▼ヤクルトがシリーズ出場に王手をかけた。プレーオフ、CSで先に王手をかけたケースは、今年のソフトバンクまで延べ28チームのうち25チームがシリーズに進出。出場を逃したのは77年ロッテ、10年ソフトバンク、12年中日で、12年中日は公式戦2位。セ・リーグでは、本拠地で戦う優勝チームが先に王手をかけたケースはすべて進出。