看板役者に襲名だ! 巨人長野久義外野手(33)が「メモリアル看板弾」を放った。中日戦の3回1死、山井の直球を捉え左翼席上部の看板にぶち当てた。賞金100万円ゲットの11号ソロは、東京ドーム看板直撃ホームランの通算100本目。チームにとって昨年5月以来の1試合5本に“1発芸”で加勢した。大量援護を受けた先発菅野智之投手(28)は、2安打完封で2年連続の2桁10勝をマークした。

 名優の目の前で主役を張った。4点リードの3回1死。長野がバットを振り回し、山井が制球し損ねた内角甘め141キロを左翼席上部の看板に直撃させた。小走りにダイヤモンドを周回し「うまく体を回転させて打つことができました」。通算100本目の東京ドーム特別スポンサー賞(ビッグボード賞およびオーロラビジョン賞)に認定され「9年目で初めてなのでうれしいです」と遠慮がちに目録を手中に収めた。

 俳優の阿部サダヲが、テレビ中継の副音声ゲストで来場していた。感性豊かな演技で人気を集める巨人党の個性派と、球界きっての個性派。5月10日阪神戦後に食事した。死球を受けた左腕を心配され「大丈夫ですか?」と触られると「痛ったたた!」と迫真…には程遠い演技を披露。貴重な時間を過ごした。

 別れ際に固い握手を交わし、約束した。

 「僕は阿部サダヲさんのようにたくさんの人を魅了することができないので、単純かも知れませんが、打って、勝って、ファンを喜ばせられるように頑張ります」

 “1発芸”だけで終わらせなかった。4回2死三塁で左翼フェンス直撃の適時二塁打。8回にも中前打で猛打賞、2打点。時に見せるビッグプレーは健在。台頭する若手の波にのまれるのはまだ早い。

 プロ9年目、中堅やや上の長野だって、まだまだ主役を張れる。高橋監督は「(看板直撃弾は)距離も大事ですけどね、数をもっと打ってほしいですね。ホームランは、やっぱりチーム、球場の雰囲気を変える」とさらなる精進も期待した。舞台上の戦いは大詰めに差し掛かる。【為田聡史】