広島会沢翼捕手(30)が、初の胴上げ捕手となった。最後の打者山田哲を空振り三振に取ると、右手を突き上げ、マスクを放り投げた。中崎と抱き合うと、駆け寄ってきたチームメートにもみくちゃにされた。

「三刀流」をまっとうした。今季は正捕手、強打者、そして選手会長の三役を務めた。扇の要として不安定な投手陣を盛り立て、打てる捕手として球団最多のシーズン本塁打数を記録するなど下位で得点源となった。連覇を受けて任命された選手会長では溝が投手と野手の間に入り、就任時に掲げた「一体感」を守った。

球団捕手最多本塁打の代償として、球団捕手初の2桁死球を受けた。それでも「(下位打線だからと)相手バッテリーに余裕を与えないように意識している。なめられちゃいけない」と逃げない。死球後の打席の打率5割が勝ち気な性格を証明する。(打席なし3、四球2、死球1、8打数4安打1本塁打2打点)。

コイの番長がいたから一時は溝が生じた投手と野手も1つにまとまった。頼れる兄貴分を先頭に、広島がセ界の頂点に立った。【前原淳】