「言葉の力」で心を揺さぶった。オリックスを自由契約となった中島宏之内野手(36)が16日、巨人原辰徳監督(60)の「非常に魅力的な選手。私との相性もいい」とのメッセージに感激、相思相愛での移籍が濃厚となった。巨人は背番号「5」を用意、態勢を整える。

新たな戦いの場所は、心の中で決まっている。オリックスから自由契約になった中島は「誰もが同じだと思うけど、野球選手は期待してくれる球団でプレーするのが一番。真っ先に声をかけてくれたのがジャイアンツ。今は“やったるで!”という気持ちで燃えたぎっています」と正式契約を待たずのフライング気味の発言。来季にかける思いを抑えきれなかった。

自分について、原監督がかけてくれた言葉は知っている。09年の第2回WBCでは同じユニホームを着て戦い、侍ジャパンの主力選手として世界一に輝いた。当時、遊撃手を守る主力は複数いたが、原監督は中島を指名。7試合で打率3割6分4厘、6打点、出塁率5割1分6厘、長打率5割4分5厘、失策も0と大暴れした。「ボクとの相性がいいと言ってくれているんですよね。うれしいです。最初、巨人の監督に原監督がなるって聞いたときは、一緒に戦えるようになればいいのになぁって思ってたんですよ」と漠然とした思いが実現する日は、近づいている。

体調管理にも抜かりはない。シーズンが終了した10月下旬に渡米、トレーニングジムで汗を流した。体幹のバランスや視神経のトレーニングを重視し、30歳を超えた選手に対し効果的な練習メニューを組んでくれるトレーナーに師事。12日に帰国するまでの2週間、続けた。「去年より、いろんな数値がよくなっている」とお墨付きをもらった。

現在は契約を結んでいる代理人が巨人との交渉を続けているが、大筋では合意する方向に進んでいる。巨人側も背番号の変更が決まっているゲレーロのつけていた背番号「5」を用意。単年契約だが年俸は1億5000万前後とみられる。中島本人が細かな条件にこだわりがなく、巨人移籍を希望。大きな支障はなさそうだ。

◆中島の現状と原監督の発言 中島はオリックスから今季推定年俸3億5000万円から野球協約の減額制限(1億円超は40%)を超える金額を提示され、自由契約を選択した。それを受けた原監督は13日、秋季キャンプ先の宮崎で「すごく評価している。非常に魅力的な選手。何より私と相性がいいと、私が勝手に思っている。野球選手として質の高さ、勝負強さがある」とコメントした。