楽天ドラフト8位の富士大(北東北)鈴木翔天(そら)投手(22=向上)が16日、岩手・盛岡市内のホテルで契約金2500万円、年俸700万円(金額はすべて推定)で契約合意した。昨秋、東北3大学リーグで史上初の完全試合を達成した身長184センチ、最速149キロの大型左腕。即戦力の期待に「将来的に10勝、15勝を挙げられる投手になりたい」と活躍を誓った。

名に楽天と同じ「天」の字を持つ「若ワシ」が、大空にはばたく。鈴木は長島哲郎スカウト部長(58)、宮越徹スカウト(40)と約30分間の交渉を終え、「プロ野球の世界に入る実感が湧きました。期待に応えられる成績を残せるように頑張りたい」と、決意を込めて契約書にサインした。

長島部長は「1年目から久米島キャンプに参加して、万全のコンディションで大いにアピールしてほしい」と即戦力を期待。宮越スカウトも「1月の練習は立ち投げでしたが、ボールの質も角度もプロで活躍する投手だと感じた。十分に1軍でやっていける」と太鼓判を押した。

3年秋の八戸工大戦で東北の大学リーグ史上初の完全試合を達成。明治神宮大会代表決定戦でも最優秀投手賞に輝き、春秋2季連続の全国マウンドに立った。今春は左肘を痛めて出遅れたが、秋は5戦に登板。「もう万全です。今持っているものをもっと磨いて、開幕1軍を目指したい」と完全復調をアピールした。

平均140キロ台の直球に加え、スライダーと沈むチェンジアップが持ち味。左腕が手薄な楽天で、同じ北東北リーグ出身の塩見に続く左の切り札の期待を担う。宮越スカウトは「スピードでも押せるし、調子が悪くても変化球でかわせる。器用で大崩れしないタイプ」と評価した。

富士大から直接のプロ入りは、前日15日に西武と入団合意した佐藤龍世内野手(21=北海)に続く9人目。「絶対に打つ」と豪語した佐藤に対し、鈴木も「絶対に抑えてやる」と対抗意識を燃やした。さらに「(西武の)山川さんと外崎さんはジャパンにも入っているので対戦してみたい」と、大先輩2人との対決も熱望した。【佐々木雄高】