ソフトバンク育成選手の川原弘之投手(27)がワンチャンスをつかんだ。B組(2軍)からA組(1軍)の紅白戦に呼ばれ、8回に登板。最速151キロをマークし、3者凡退に抑えた。

「緊張したが、全部よかった。100点満点じゃないですか」と笑った。左打者の栗原、川瀬を3球で仕留めると、左腕キラーの川島には150キロ超えの直球を3連発。最後はスライダーで空振り三振を奪った。

倉野投手コーチは「この投球が続けば、みんなをごぼう抜きする。期待以上。球の力、キレ。パワーピッチャーは今のうちの左にはあまりいない」と絶賛した。宮崎キャンプで今後4試合予定されている対外試合での登板機会を得た。

川原はプロ10年目のシーズンを迎えた。「このまま終わるわけにはいかない。1回くらい活躍したいですからね」と本音をもらした。09年ドラフト2位で福岡大大濠から入団。最速158キロを計測し、当時評論家だった工藤監督がほれ込んだ逸材だ。しかし13年に1軍で投げて以降は故障に泣かされた。15年3月には左肩、同じく11月には左肘を手術。今季が育成4年目。当時と違い、腕もスリークオーターからサイド気味となった。

昨年、2軍で34試合に登板。プロで初めて1年間を通して投げることができた。それでも川原はオフに戦力外通告を受けると覚悟していた。「終わると思っていた。本当に今年がラスト」。開き直って、このキャンプにすべてをかけている。工藤監督も「頑張っているといいことあるんだね。左の151キロはそうはいない。また次のチャンスで頑張ってほしい」と大きな期待をかけた。【石橋隆雄】

◆川原弘之(かわはら・ひろゆき) 1991年(平3)8月23日、福岡市生まれ。小3で左投げに転向。中学時代は福岡ウイングスに所属し、3年時にホークスカップ優勝。福岡大大濠では3年時、エースで県大会5回戦敗退。09年ドラフト2位で入団。12年7月28日のウエスタンリーグ中日戦で158キロを記録した。1軍登板は12年2試合、13年1試合の通算3試合で防御率4・50。15年オフに戦力外通告を受け、育成選手として再契約。背番号は「26」から「122」になった。18年には4年ぶりに2軍戦に登板した。左投げ左打ち。187センチ、93キロ。