楽天ジャバリ・ブラッシュ外野手(29)がまたしても大逆転の立役者となった。チーム記録となる8点差を逆転してのサヨナラ勝ち。

0-8の4回裏に反撃の満塁本塁打、8回裏にも2点本塁打を放って敗色濃厚ムードを一転させ、8日ソフトバンク戦での7点差逆転を更新する劇勝を呼んだ。昨季エンゼルスで同僚だった大谷からのアドバイスを忠実に守る真面目な男が、大暴れの予感だ。

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まさに楽天の救世主だ。ブラッシュが起死回生の2発で、大逆転勝利を呼び込んだ。先発古川が4回までに8安打2本塁打を浴び8失点。しかし7点差をひっくり返した1週間前の残像が、ブラッシュの頭に残っていた。4回裏2死満塁、金子の初球142キロの直球をジャストミート。打った瞬間本塁打と分かる豪快な左中間弾を放つと、一塁を回り右手で小さく拳を握り締めた。「こういう展開だけど、ベンチでみんな声が出ていた。このままいきたくなかった」。4点差のまま追い込まれた8回裏には2ランを放ち、ついに勝利を視界にとらえた。8日のソフトバンク戦でも0-7から2ラン2発を放ち、チームに「まだ行ける」のムードを与え、サヨナラ劇をもたらした。決して諦めない姿勢が、チームに奇跡的な粘りを生んだ。

14日は疲れを考慮され欠場。もちろん自ら申し出たわけではない。平石監督は「明らかに疲労がたまっているようだった。日本に来て、練習内容とか移動とかの違いが影響していると思う。試合に向けて準備してくれたらいい」と配慮を欠かさない。そして「今日は練習から明らかに元気だった。ベンチのみんなも『ここで打ったら(休みを)許す』と言っていた」と休養日効果を笑った。

昨季エンゼルスで同僚だった大谷からは来日前に、「日本の投手は変化球が多いので、前に突っこまずに我慢することが大事」とアドバイスを受け実践している。13日(日本時間14日)に大谷が放った今季初本塁打も目に焼き付けた。「映像で見たよ。すごかったね。彼は今年もたくさんホームランを打つよ」と活躍を刺激にしている。6日西武戦から8試合で7発と量産態勢に入るが、あくまでもフォアザチームを強調する。「嶋と浅村の1発が大きかったよ。自分はチームの勝利に貢献したいという気持ちだけでやっている」と謙虚だ。196 センチ 、100 キロ の優しき大男が、楽天に大きな底力をもたらしている。【野上伸悟】