阪神守屋功輝投手(25)が、プロ5年目で初勝利を挙げた。1点差に詰めよられた4回2死一塁から登板すると、4人を完璧に抑えた。矢野監督が2軍監督時代から期待する「矢野チルドレン」が勝利の流れを再び呼び込んだ。

いやな空気を3球で断ち切った。「いつも通りゼロで抑えるということを考えて上がりました」。力強く腕を振り、代打重信に直球を2球投げ込んだ。最後は137 キロ のフォークで遊ゴロに。5回も2番坂本勇から始まる中軸に真っ向勝負。「気持ちでは絶対負けたくなかった」。逃げずに攻めて3者凡退に仕留めた。

昨季は2軍でチーム最多の39試合に登板し、ファーム日本一に貢献。昨オフから「守屋は使える!」と言ってきた矢野監督も万感の思いだ。「うれしいね。ああいう苦しんでいたやつがこんな大舞台で、しかも勝負の分かれ目のところでしっかり抑えて初勝利。すごく内容のある1勝」。間近で見てたからこそ、心からの喜びの言葉だった。

2人の“縁”は、実は幼少期から続いていた。神戸出身の父靖彦さん(49)の影響で、岡山生まれながら生粋の阪神ファン。阪神戦の中継を見るのが当たり前だった。中学時代まで捕手だった靖彦さんと一緒に「お前だったらどういう配球する?」「オレだったらこの球を投げるかな」と言い合いながら観戦。視線の先には、現役時代の矢野監督がいた。「好きな選手は、矢野さんと今岡さんです」。小学生の守屋はいつも、そう言っていたという。

今春は初めて1軍キャンプスタート。ここまで17試合に登板し14三振2失点と、矢野監督の期待通りの活躍を見せている。「まだ足りないと思う。シーズンが終わったら、力になれたと思えるように、これからも気を緩めずにやっていきたい」。お立ち台で力強く宣言した。「今年矢野さんの力に絶対なりたいので、ファンの皆さんも力を貸してください!」。恩返しはこれからだ。【磯綾乃】