日刊スポーツ評論家陣が球界のさまざまな事象に提言する今回の「野球塾」は、阪神85年日本一の守護神で元投手コーチの中西清起氏(57)が登場。阪神が28日からの巨人、広島の上位6連戦を勝ち切るための、8つのポイントを指南しました。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

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阪神は交流戦を前にした大事な巨人、広島6連戦を迎える。ここで弾みをつけるか、しぼむか…。それによって交流戦の入りが違ってくるだけにポイントになってくる。

開幕から一時借金6に膨らんだチームが、ここにきて貯金4に転じた。安定した戦いができるようになったのは、オーダー、センターラインの固定によるところが大きい。

<1>4番大山 特に4番大山を我慢強く起用し続けているのは今年の戦い方の注目点といえる。他球団の主軸と比べても安定した打撃とは言い難いが、チームの将来が主軸の成長にかかっている。

<2>ベンチワーク 矢野監督がみせるガッツポーズも、わたしが知る限り、本来のキャラではない。監督自らが雰囲気作りをしているのも、昨シーズンまでとは異なっている点だ。これから落とせないゲームが出てくると、先の、先の、そのまた先までを読んで、一瞬の判断で作戦を繰り出す必要がある。ベンチワークが明暗を分ける試合が多くなってくるだろう。

<3>青柳重要 巨人戦についていえば5月14、15日の東京ドームで連勝したから、それまでのような苦手意識はない。先陣の青柳がうまく立ち上がれば、がっぷり4つの展開も期待できる。

<4>接戦有利 手ごわい巨人打線の中、坂本が要注意なのは変わらない。競った展開に持ち込むのが阪神ペースで、無駄な四球、エラーを避け、最少失点で抑えながら流れを呼び込みたい。

<5>誠也の前 それはチーム状態の良い広島戦でもいえることで、4番鈴木の前に走者をためないことだ。ピッチャーにすればソロ本塁打はOKぐらいの気持ちで臨んでもいいだろう。

<6>近本カギ 阪神でキーマンになるのは近本。相手チームからは足の速いこの若手を塁にだすとやっかいと思われている。足を絡めた攻撃をするのに、近本の出塁はカギを握っている。

<7>心強いPJ また、ジョンソンがセットアッパーで機能しているのは心強い。しかも登板間隔が4日間空くのは大きく、巨人、広島戦では粘り強く戦いながら勝ちパターンにはめたい。

<8>目標貯金5 その点、先発からの代え時、つまり継投の判断による成否が勝敗を分けるとみている。交流戦スタートまでに「貯金5」をノルマに粘って、粘って、しぶとく戦いたい。