ソフトバンク福田秀平外野手(30)がビックリ起用に応えた。

プロ13年目で初めて二塁で先発し、ともにプロ初の初回先頭打者本塁打、1試合2発の大暴れ。二塁守備も無難にこなし、巨人エース菅野打ちでチームを勢いづけ、2年ぶりの交流戦Vを呼び込んだ。

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仲間とのハイタッチを重ねる福田の顔が汗と喜びで輝いていた。「チームとしてみんな目指してきた。勝てて良かった」。勝った方が優勝の決戦。1点が重要になることは誰もが感じていた。初回。福田の考えはシンプルだった。「先頭バッターだったので、塁に出ることだけを考えていた」。菅野に追い込まれてから5球目をとらえ、右中間へ6号ソロ。交流戦だけで5本目となる1発は大きな先制点となった。

試合前、二塁での先発を告げられた。多摩大聖ケ丘高時代は遊撃手で、内野手として入団。だが5年目の11年からは外野手登録。途中出場での二塁守備や一塁での先発はあったが、先発二塁は初めてだ。離脱中の今宮のグラブを借り「今宮健太のように、そういう選手になりきったつもりでプレーしました」と気負うことなく、2度の守備機会を無難にさばいた。「プロ野球選手なので。何とかなると思っていました」と余裕を持っていた。

それ以上に、気持ちが入っていたのはバットの方だった。「監督の期待としては打つ方だと思う。応えたかった」。4-1の7回にも左腕高木から交流戦6本目の7号ソロ。2回以降なかった追加点を奪い、流れを引き寄せた。この3連戦で初戦は代打満塁本塁打、第2戦は代打で適時二塁打、そしてこの日と強烈なインパクトを残した。

東京遠征の移動日だった17日は故郷の横浜に立ち寄り、08年6月に亡くなった父徹さんの墓に手を合わせた。近況報告に加え「次来るときはもっと成長した姿を見せます」と誓いを込めた。すでに本塁打数は昨年の自己最多に並んだ。故障者が相次ぐチームの中で、どんどん欠かせない存在になっていく姿を見せることができた。【山本大地】