虎の「暴れ馬」が超速始動や! ソフトバンクから無償トレードで阪神に移籍した中田賢一投手(37)が24日、入団後初めて鳴尾浜球場を訪れ、いきなりブルペンで投球練習を行った。前日23日に引っ越しを済ませたばかりだが、猛虎の一員として意欲十分。同僚にスライダーを伝授するなど、頼れるベテランが来季の開幕ローテーション争いへ殴り込みをかける。

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グラウンドに一礼し、中田は鳴尾浜に足を踏み入れた。前日23日に家族で関西に引っ越してきたばかり。「まだ来たことがなかったので1度、内情を見ようかなと」。新天地の視察は軽いものではなかった。入団後初の訪問で、いきなりブルペンに向かった。捕手を立たせて約30球。今オフ初の投球練習だった。「今のところは思った通りにできている」。投球を終えると、無人のグラウンドでダッシュ。午前、午後合わせて約3時間、みっちりと汗を流した。

10月にソフトバンクからトレードで移籍した。自身3球団目。ベテランらしく、冷静に次を見据えた。「トレードが決まってからすぐに肩を休めた。来年、(開幕が)早いというのもあるので、早めに休んで早めに始めようという意識」。来季で38歳を迎えるが、狙うは開幕ローテーション入りだ。「全員目指すところ。僕自身も目指している。自分のペースを守りながらアピールする」と迷いはない。通算100勝右腕は超速始動で肩を仕上げ、激しい先発争いに殴り込みをかける。

さらなる進化へ、速球磨きに励んでいる。ウオーミングアップ後は重さが異なる複数のボールを壁に向かって投げた。米国で人気のジム、ドライブライン流のトレーニングだ。「(始めたのは)2年前から。重たいボールはパワー系のボールを投げられる。軽いボールは普通のボールより速いスピードで投げられる」と説明。「今、自分が投げているボールより速いボールが投げられる。その意識を体にたたき込む。普段のボールでもそのスピードで投げられるようにしている」。貪欲にスピードにこだわる。

チームに溶け込もうと、積極的にコミュニケーションも取った。キャッチボール相手の横山にはスライダーの投げ方を惜しみなく伝授。「いい人です」と横山が連呼するほど紳士的だった。同じ福岡県北九州市八幡西区出身の後輩である小野とは地元トークで盛り上がった。中田は「いろんな選手と会うのが楽しみです」と笑顔。タカから虎へ。「暴れ馬」と呼ばれた右腕の新たなステージが幕を開けた。【只松憲】