ソフトバンクにヤクルトから新加入したウラディミール・バレンティン外野手(35)が19日、ランチ特打で定位置取りへ猛アピールした。約30分間で111スイング。くしくもこの日からチームに合流した、左翼を争うライバルでもあるグラシアルの背番号と同じ「27」発の柵越えを披露した。

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「イヤーッ」。歓喜の雄たけびとともに、豪快なデモンストレーションは幕を閉じた。バレンティンは最終スイングで27本目となる特大の1発を左翼席にたたき込み、上機嫌でグラウンドを後にした。3連発あり、バックスクリーン直撃も3発。さらには場外弾も5本と勢いを増してきた大砲は「日に日に良くなってきていますよ」と自慢の打棒に手応えは十分だ。バットの上昇とともにファンにもどんどん受け入れられており、「ココちゃ~ん」という声援も日増しに大きくなってきている。

この日からグラシアルがチームに合流した。グラシアルは前日18日に来日したばかりで別メニュー調整だったが、朝の集合時などに言葉を交わした。バレンティンは「本当に合流してくれてうれしい。チームの仲間として、本当にいい打者だと思う」と喜んだ。ただ、スペイン語でコミュニケーションが取れる仲間ではあるが、同時にライバルにもなる存在だ。

バレンティンはヤクルト時代の定位置だった左翼での出場に意欲的だが、グラシアルは昨年チーム最多の93試合で先発している“正左翼手”だ。工藤監督は「デスパイネも含めて、切磋琢磨(せっさたくま)してお互い高めていけるように。いろんなポジションを含めて可能性を引き出していきたい。今年こそはと思っている選手も他にいますし、確定ということではない。これから結果を残して、しっかり自分で奪っていってもらいたい」ときっぱり。内野や右翼も守れるグラシアルの能力も加味しつつ、激しいレギュラー争いを期待した。

20日は対外試合前最後の紅白戦となる。出場予定のバレンティンは「いつも通り、自分のタイミングで球を見て調整していくだけだよ」と泰然自若で言った。60発の日本記録ホルダーが昨年の日本シリーズMVPと競い合う。【山本大地】