「8回の男」争い白熱! 阪神新外国人のジョン・エドワーズ投手(32=インディアンス)が20日、楽天との練習試合(沖縄・宜野座)に実戦初登板し、1回無失点、左打者3人をわずか8球で抑えた。直球がカットボール気味になる「ナチュラルカット」で内野ゴロ3つ。持ち球の「リベラカット」とは違う軌道だった。ロベルト・スアレス投手(28=ソフトバンク)も150キロ超えの直球を連発して1回無失点で、「ポスト・ジョンソン」争いから目が離せない。

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エドワーズがマウンドに立っていたのはわずか2分30秒ほどだった。5回に登板し、藤田、辰己、鈴木大を8球で片づけた。「少ない球数で打者を打ち取ることを意識した」。与えられた持ち場で3者凡退。「8回の男」として期待がかかる助っ人右腕が、堂々たるデビューを果たした。

3人の左打者を仕留めた決め球については「ストレートがカットの回転になったんだよ」と解説。МLB最多の652セーブを挙げた最強クローザー、マリアノ・リベラの代名詞「リベラカット」をまねているが、この試合では直球が打者の手元で微妙に曲がるナチュラルカットボールとなった。偶然の産物にも「うまくいかせれば有効になると思う」と言い、事実、内野ゴロ3つは内寄りに少し食い込ませてバットの芯を外したものだった。「真っすぐの感触はすごく良かったよ」。このカットを意識させれば、もう1つの武器「ジャイロスライダー」との相乗効果が期待でき、投球の幅は広がっていく。

矢野監督も驚きの表情を見せた。「エドワーズは真っすぐも変化球も、強さというのは武器。ゾーンにいけば、そんなに簡単に打たれるような感じには見えない」と評価。投球を受けた梅野は「球威がある。変化球もブレがあるわけではない。一番は球に力があることで、もっともっと上がってくると思う」と証言した。昨季セットアッパーとして58試合に登板しリーグ2位の42ホールドポイントを挙げたジョンソンの後継者争いで、エドワーズはアピールに大きく成功した。

負けじと燃えたのは実戦2度目のスアレスだ。エドワーズからマウンドを引き継ぎ、1回1安打2三振。「ゾーンに強い球を投げる。今日はそれができた」と150キロ超えの直球をズバズバ投げ込んだ。18年西武で打点王を獲得した4番浅村にはキレのあるフォークで空振り三振。「シーズンに向けて取り組んでいる球。良かったよ」。昨季ソフトバンクで日本一を経験した右腕も猛アピールした。

新助っ人2人によるハイレベルなデモ投。指揮官にとってはうれしい悩みで「どうしようかな。レベルの高いところで競争してくれているかな」とニヤリ。白熱する「ポスト・ジョンソン」争い。期待の両右腕がようやくベールを脱いだ。【只松憲】

 

▽阪神金村投手コーチ(エドワーズについて)「しっかり詰まらせていた。真っすぐがカットして、いい感じで詰まっていた。すごく良かった」

▽巨人中里スコアラー(エドワーズについて)「ヒットを打たれない球。カーブでもカウントを取れていた。上々だったと思う」

▽ヤクルト山口スコアラー(エドワーズについて)「(球が)かなり動いている。あれがセットアッパー。今のところ順調ですね」