「お母さん、いつもありがとう」。阪神ドラフト1位の西純矢投手(18)が母の日の10日、母美江さんに感謝の言葉を並べた。

鳴尾浜での自主練習後に広報を通じて取材に対応。創志学園(岡山)1年の17年秋に父雅和さん(享年45)が他界した後、母は女手一つでプロ入りを支えてくれた。コロナ禍の終息後にプレゼントを送ると約束した。また球団は公式YouTubeで選手たちの母へのありがとうメッセージを公開。「先発」は西純で、49選手によるリレーの最後を福留が締めた。

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西純は母美江さんへの感謝の言葉が尽きなかった。「高校生の時から寮生活を始めて、母親への感謝の気持ちは常日頃から持っています」。プロ1年目で迎える母の日は特別だった。

高校1年の17年秋。岡山大会の3位決定戦に登板して敗れた後、野球の道へ導いてくれた父雅和さんが倒れた。4日後に他界した。つらい別れで練習に身が入らない時、美江さんは「前を向いて頑張って」と電話で励まし、支えてくれた。「練習試合や公式戦の時、片道2時間半もかけて試合を見に来てくれたりして、ありがたみを感じていました」。高校野球引退後は実家のある広島から岡山の寮まで来て生活をサポートしてくれたこともあった。

「今までプレゼントをすることはありませんでした。社会人となった今年は何かプレゼントをしたいと思っていたのですが、コロナの影響で買い物ができないので、また買い物に行くことができるようになったらプレゼントをしたいなと考えてます」

女手一つで自分と弟を育ててくれた。プロとして給料を稼ぐようになってその苦労をより実感した。大人の仲間入りをして迎えた母の日。右腕は少しだけ背伸びして贈り物を約束した。

結果でも恩返しする。チームの活動休止中は、メジャーリーガーもその評論を参考にするといわれる、お股ニキ氏の著書「ピッチングデザイン」を読みふけった。スライダーの投げ方には中指ひねり型と人さし指ひねり型が存在するとあり、西純はカブスで活躍するダルビッシュ有と同じく前者だと知った。「知ってからはダルビッシュさんのスライダーの映像などを見て参考にしています」。憧れのツインズ前田健太のYouTube動画も研究。時間を無駄にしなかった。

この日はウエートトレーニングで汗を流した。「先が見えない日々が続いていますが、今しか出来ないことがたくさんあると思う。プラスに捉えています」。コロナ禍を乗り越え、プロ初勝利を大好きな母へ届ける。【只松憲】