3連覇を狙う山賊打線は、今季も健在だ。西武森友哉捕手(24)が11日、楽天との練習試合(メットライフ)で、5日以来19打席ぶりの安打を含む3安打3得点をマーク。3番打者として出塁するとすべて生還した。後続に並ぶ山川、中村の強打者の前で機能を果たすと、打線もつながり16安打12点と爆発。昨季首位打者でMVPの扇の要が、開幕残り1週間を前に復調し、3連覇を予感させた。

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あえて内にしぼった踏み込み足の右膝は、極端なほど後ろを向いていた。森は3回無死一塁、初球を見送ると真ん中に入ったスライダーをフルスイング。変化球を引っかけながらも、強烈な打球が一、二塁間を通り抜けた。「感触はよかった。しっかりボールを引きつけて打てた。久しぶりに感覚的にもよかったかな」。第1打席まで18打席連続無安打が続いていただけに安心の表情を浮かべた。

トンネルを抜けだすため前足を修正。「ちょっと意識を変えた。足の上げ方の意識。内に入れるようにというか。少し体が開いていたので。それを修正するため」。内側にしぼり、引いた右膝は完全に捕手方向に向いていた。体の開きを直し「やっと自分らしいバッティングができた。こういった状況で開幕するのは初めて。難しさは感じている」。急ピッチでの調整を痛感。それでも大好きな焼き肉を我慢しながら、開幕1週間前に、工夫しながら乗り越えようとしている。

森が出れば、後ろがかえす。それが山賊打線。3安打いずれも単打でも、3回は中村の左翼線二塁打、4回は鈴木の右前安打、5回は4番山川の中越えフェンス直撃弾丸二塁打で生還を果たし、チームも5回連続得点で爆発。「山川さんも中村さんも状態がいい。シーズンになったら、まずは後ろにつなぐ意識。そこから自分がホームにかえる意識を常に持っている」と得点パターンを思い描く。

前日には後輩らの夢を一緒に喜んだ。中止になったセンバツ出場予定32校の交流戦開催が決定。「甲子園はすごいいい場所。もちろん勝ち負けも大事ですけど、全力を出して楽しんでやってもらいたい」。出場予定の母校・大阪桐蔭に寄付を検討。自身も19日には3連覇をかけた戦いが幕を開ける。今季も攻守でMVP級の活躍を求められる扇の要は「しっかり投手を信頼して開幕を迎えたい。うれしい半面、不安もある。思い切ってやりたい」。球児のように気持ちを高ぶらせた。【栗田成芳】