意地の1発だった。4点を勝ち越され暗いムードが漂った9回2死一塁、日本ハム清宮幸太郎内野手(21)が、2日ソフトバンク戦以来、5戦17打席ぶりとなる今季2号2ランでベンチを奮い立たせた。「落ち着いて打席に入れた」と、オリックス沢田の甘いフォークを逃さず、右中間席へ突き刺した。

10日は3打数無安打。試合前の時点で打率0割9分4厘と低空飛行が続き、スタメンを外れた。「どんな展開でも行ける準備はしていた」と、この日はプロ入り19度目の代打出場で初めての本塁打。結果は残したが、栗山監督は期待も込めて、いつものように「フツー」と素っ気なかった。

8日オリックス戦でプロ初盗塁を決め、翌9日以降はソックスを見せるオールドスタイルで臨んでいる。「(理由は)特にないですけど、盗塁もしたし…。いつまで続くかは、分からないですけど」と、照れ笑い。マイペースに見える清宮だが、悩み、考え、気持ちの切り替えを試みている。

大阪は父の故郷だ。プロ1号も放った縁の深い敵地でのアーチ。「結果がいいのに越したことはないですけど、それまでの練習だったり、準備だったりが全て。そこを大切にやっていきます」。浮かれることなく、しっかりと足元を見つめた。