巨人のエースが、指揮官と自らのメモリアル勝利をダブルで飾った。菅野智之投手(30)がリーグトップタイの今季3勝目。自身180試合目の登板で、球団4位となるスピード記録で通算90勝に到達した。先週は3試合が雨天中止。巡り巡って、歴史的な瞬間をともに“戦場”で迎えた。

菅野 やっぱりそういう運命を感じながら今日は投げられましたし、そういうのに携われて、本当にうれしいです。

エースへの道を示してくれたのはおじであり、監督でもある原監督だった。2年目の14年3月15日。ソフトバンクとのオープン戦後だった。指揮官から呼ばれ、言われた。「開幕、いくぞ」。今でも身震いする自身初となる大役のマウンド。あの時の胸の鼓動、野球人としての興奮は今もなお、強く刻まれている。

あれから6年後の今季。球団史に残るエースへと進化した男に、原監督から示されたのは全幅の信頼感だった。自身6度目となる開幕投手を託されたのは昨年のオフ。宮本投手チーフコーチから伝えられた。原監督からは「宮本コーチから聞いたか? 頼んだぞ」。短い言葉だが、それで十分だった。

エースの使命を胸に、マウンドに上がる。だから、チームの連敗を4で止めても反省を示した。無失点ながら、5回109球で降板。コンビを組んだ大城に対し「ちょっと窮屈な思いをさせてしまって、申し訳なかったなという思いはあります」と謝った。向上心、探求心の塊のような男が、チームの進むべき道を示す。【久保賢吾】