期待の左腕で巨人猛追だ! 3年目左腕の阪神高橋遥人投手(24)が、6日巨人戦(甲子園)で今季1軍初先発する。2月キャンプで開幕ローテ入りが当確したが、その後は左肩コンディション不良でペースダウン。6月の開幕は2軍で迎えた。矢野監督が10勝以上を期待する次世代のエースがやっと戻ってきた。チームは勝率5割の4位で首位巨人と5ゲーム差。「伝統の一戦」で差を詰める。

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太陽がキラキラ輝く甲子園に、24歳の左腕が帰ってきた。「けがやリハビリもありましたし、ファームでも何試合かは投げましたが、当然緊張はすると思うので、いい緊張感に変えて、初登板なので思い切って投げたいと思います」。高橋は3日の投手練習でキャッチボールなどで調整。今季初先発となる6日巨人戦に向けて準備を進めた。

左腕から最速152キロを繰り出し、昨年は19試合に投げて3勝9敗。負け越しはしたが、期待を抱かせた。矢野監督は春季キャンプ中に「2桁なんてそんな低いふうに思っていない」「貯金をたくさんしてくれる投手」と発言。キャンプの投手MVPにも選んだ。ローテ入りは当確していたが、その後は左肩の状態が上がらず2軍調整を続けた。前回7月30日のウエスタン・リーグ、ソフトバンク戦で実戦復帰後最多となる5回を投げ2失点にまとめて、昇格が決まった。

矢野監督の言葉には待望感がにじむ。「開幕前から一番プラスアルファを期待している投手だったんで。まだかまだかとこっちも思っていたし、(高橋)遥人自身もモヤモヤしながらやっていたと思う。初登板は緊張もあると思うけど、思い切って、遥人らしくいってくれたらいいんじゃないか」。秀でた球質、ポテンシャルは誰もが認めるところ。オフに習得したカーブも有効に使えるようになり投球の幅を広げた「20年型高橋」に期待を寄せた。

相手は首位巨人。敵地での開幕カードでは3連敗を喫し、前回甲子園では雨で2試合流れ、阪神の1勝だった。この3連戦にかける指揮官の思いは強い。「巨人が走っているんでね。クライマックス(シリーズ)も何もないんで優勝しか日本シリーズにいけないんで、巨人をどう倒すかは大事なところになる」。5ゲーム差を追って初戦にガルシアをぶつけ、藤浪、高橋と上り調子の若手を並べた。「(藤浪)晋太郎も状態が上がってきているし、あとは投手が頑張ってね。向こうもいい投手がくるんで頑張ってもらいたい」。

4番岡本がリーグトップの14本塁打を放つなど巨人は打線も好調。その岡本に2年連続で被弾している高橋は「すごくいい打者だと思いますが、その他もいい打者がそろっているので、1つ1つ丁寧にアウトを取っていきたい」と力を込めた。宿敵との差を縮め、再び貯金生活を始める。【磯綾乃】

<阪神高橋のここまで>

◆代役 19年5月5日DeNA戦で先発予定の岩貞がインフルエンザと診断され、急きょ初先発。19戦に先発し3勝9敗、防御率3・78。

◆五輪代表候補 先発した19年6月20日楽天戦を侍ジャパン稲葉監督が視察。「建山コーチと、選んだらどこで使うか話した」。

◆オフ 昨秋キャンプから投球の幅を広げるためカーブやチェンジアップ習得に挑戦。山本昌臨時コーチから新たな握りを授かる。

◆春季キャンプ 1軍キャンプでは順調に結果を残し、2月16日楽天戦で3回3安打無失点。最速148キロを計測した直球を「花丸です」と自分で表現し、開幕ローテに当確ランプ。

◆登板回避 3月4日の広島戦に先発予定だったが、前日に悪天候と冷え込みが予想され、左肩への影響を考慮して回避。登板機会を1度飛ばし、10日の2軍ソフトバンク戦で4回1失点。24日DeNA戦は4回5失点だった。

◆開幕2軍 4月15日の自主練習再開後も鳴尾浜で調整を続け、5月29日に左肩のコンディション不良が発覚。矢野監督は「開幕は厳しいんじゃないかな」。

◆2軍調整 7月3日2軍の中日戦で実戦復帰。イニングを1→1→2→3→5と徐々に伸ばし、30日ソフトバンク戦の好投でリハビリ組から外れた。