虎の4番が完全復活や! 阪神大山悠輔内野手(25)が3年連続2ケタ本塁打となる10号ソロを放つなど3安打2打点で勝利に大きく貢献。単打が出れば、サイクル安打の活躍だった。

チームは同一カード3連敗を阻止し、4位も守った。一時は打撃不振に陥っていた4番が復調し、長期ロードの反撃に打って出る。

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これが4番の仕事だ! 大山が試合を決めた。1点リードの8回2死。広島一岡の初球スライダーを一振りで仕留めた。左翼席に飛び込む10号ソロ。自己最速の42試合目で3年連続2ケタ本塁打に到達。笑みを浮かべることなく、ダイヤモンドを1周した。

「勝ったことが一番。チームの流れもあまり良くなかったですけど、流れを変える大事な仕事ができたと思う。今日は今日で終わり。明日また一から始まるので」

4番のバットが先制、決勝点を生み出した。2回に先発遠藤から左中間へ二塁打を放ち、チャンスメーク。7番梅野の遊ゴロの間に先制のホームを踏んだ。同点に追いつかれた直後の3回2死三塁では、勝ち越しの適時三塁打。単打が出れば、サイクル安打という3安打2打点。3本の長打で、5位転落&同一カード3連敗を阻止した。

開幕ダッシュ失敗の後、大山の活躍でチームはV字回復。しかし、4番のバットが湿り、連動するかのように矢野阪神も勢いを失った。5日巨人戦から14打席無安打。苦境で首脳陣の緊急メスが入った。8日広島戦の試合前練習。矢野監督と井上、新井両打撃コーチが大山を囲み、アドバイスを送った。井上コーチはその内容を明かした。「例えば監督が右バッター、俺は左バッター。長距離砲や短距離砲の選手だったり、それぞれあるけど、『共通して言えるのはこうじゃんか』と。それをまたみんなで話し合いして、再確認をした」。アドバイスの内容もいろいろだが、「たどり着くところは同じ」と目指す場所を再確認。気持ちをクリアにしたことで、同日には15打席ぶりの安打となる9号ソロにつながった。

矢野監督は4番の連日の活躍に「どんなバッターでも、シーズンの中で波がある。昨日、今日のどこかにキッカケというのが、何かしら本人にもあると思う。まだまだシーズン続くんで、その波を小さくしてやってくれたら」と、さらに期待した。

長期ロードは負け越しスタートとなったが、4番の復調は心強い。「(記録は)関係ないです。3年連続であろうが、打てるところで打たないと意味がないので。しっかり頑張ります」。まだまだ、足りない。大山のバットで、まずは借金返済、そしてAクラス再浮上だ。【奥田隼人】