広島のドラフト1位、森下暢仁投手(22)が新人投手で一番乗りの完封勝利を決めた。5回2死まで無安打に抑えるパーフェクト投球をみせ、2安打12奪三振の快投で今季4勝目を挙げた。対阪神は3戦3勝と、早くも虎キラーぶりを発揮。新人投手の2ケタ奪三振&無四死球完封勝ちは球団史上初、セ・リーグでは61年権藤(中日)以来の快挙となった。

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新人離れした直球で阪神打線を封じ込めた。9回2死一塁、打者中谷。森下はカウント0-2から外角低めに146キロ直球をズバッと決めた。圧巻の奪三振ショーを締めくくる自己最多12個目の三振。2安打無四球でプロ初完投&初完封を決めた。初勝利を挙げた6月28日中日戦では完封目前の9回に3失点で降板しただけに「ゼロで最後まで投げきることができてよかったです」と喜びをかみしめた。

球威全開だった。最速152キロの直球を軸に、ひと回り目から完璧にねじ伏せた。4回には近本、中谷、サンズを三振に切り、イニングをまたいで4者連続K。5回2死までは1人の走者も出さなかった。先発全員から三振を奪い、許した安打は単打2本。二塁すら踏ませない快投に「ストレートをしっかり投げることができたので、他の変化球も生きたと思います」とうなずいた。

自らのバットでも援護点をたたき出した。4点リードの6回2死一、二塁。藤浪の甘く入った変化球を左翼線にはじき返した。ダメ押しの2点適時二塁打でプロ初打点をマークし「バットに当たれと思っていた。抜けてくれて本当によかった。ホッとしています」。 高校通算5本塁打ながら、打撃センスは抜群だった。大分商時代の打順は「3番」。「高校の時は投手の練習というよりも、内野ノックに入ったり、打撃ばっかりしていました」という。明大進学後も打撃練習や内野の守備練習に積極的に参加し、本職の投球につなげてきた。「投手だから投手だけのことをしなければいけないということではない。打撃から投球につなげることもできると思う」。あらゆる汗が投球につながる-。そんな土台に積み上げてきたものが、この日の快投&快打に表れた。

新人で2桁奪三振&無四球での完封勝利は球団初の快挙。佐々岡監督は「最後(無四球を)意識した中でしっかり投げきった。無四球で2安打。言うことなし」とたたえた。対阪神は3戦3勝。エース大瀬良に並ぶ4勝目を手にした怪物右腕。目標に掲げる新人王へ大きく前進した。【古財稜明】