阪神が執念のリレーだ。傾き掛けた流れを引き戻したのは、決死の覚悟でマウンドに上がったブルペン陣だった。先発藤浪が1点リードの5回2死満塁で降板。あと1アウトで勝利投手の権利を獲得するという場面で下した矢野監督の重い決断。コールされたのは8月中旬から中継ぎに転向した左腕岩貞の名前だった。

「いつも丁寧に投げることを意識していますが、今日も丁寧に投げることができ、ゼロで抑えることができて良かったです」。8番田中広を内角をえぐるシュートで遊ゴロに仕留めてピンチを脱出すると、6回の打席ではビックリの左前打。その裏もマウンドに上がると、イニングまたぎで「0」を刻んだ。1回1/3を無安打無失点と踏ん張り、中継ぎでは初めて勝利投手になった。

矢野監督も賛辞を惜しまない。「中盤からはずっと押されてヒヤヒヤだったけど、サダ(岩貞)がやっぱり今日の中では1番、殊勲というかね。あそこをしっかり止めてくれて、プラスアルファ次の1イニングをしっかり抑えてくれたのが1番。誰か挙げろと言われたら岩貞かな」。影のヒーローとして名前を挙げた。

試合終盤に送り込まれたリリーバーたちも盤石だった。7回ガンケル、8回馬場がゼロを並べてホールドをマーク。9回には新守護神スアレスが1点を失うも勝ち越しを許さず、リーグ単独トップの11セーブとした。阪神は8月後半から9月前半まで7カード連続で屋外球場が続く。残暑が厳しい日本列島。中継ぎ陣の活躍が頼もしい。【桝井聡】