広島森下暢仁投手(23)が神宮「凱旋(がいせん)登板」で111球の力投を演じた。

7回を4安打2失点、9三振を奪った。7勝目はならなかったが、規定投球回数に再び到達。防御率2・40は巨人菅野、阪神西勇に次いでリーグ3位となった。

前日19日に14得点したヤクルト打線に直球主体の投球で押した。2回1死一塁から坂口に低め148キロを右翼席に運ばれても、スタイルは変えない。「点を取られたくないという思いだけでした。自分が粘らないとチームの逆転もない。そこの思いだけで投げていました」。6回まで毎回の9三振。100球を超えた7回も150キロを計測。新人右腕の力投は8回に堂林の同点ソロを呼び、そして大盛の適時内野安打による延長戦勝利につながった。

「真っすぐが生きないと、変化球も生きない」。プロ1年目のシーズン。蓄積された疲労からフォームのズレや球速の低下もみられる。それでも体力回復に努め、フォームの修正も繰り返し、明大時代から培ってきた攻めの投球を貫いた。

大分商から明大入学を機に、直球への意識が変わった。「キャッチボール、ブルペンから意識するようになった。ブルペンでもストレートばかり投げていました」。4年間で東京6大学リーグ通算15勝12敗、防御率2・42。紫紺から真っ赤なユニホームに身を包んだプロでは6勝2敗、防御率では各球団のエースに引けを取らない成績を残す。

プロ初の神宮登板を「大学とプロでは全然違うように感じた」と振り返った。勝つことはできなかったが、チームの勝利に大きく貢献した。「(自分に)勝ちがつけばと思っていましたが、チームが勝ったことが一番。次につながればいいです」。凱旋(がいせん)登板で成長を示した新人右腕は、エース不在の広島で欠かせない存在となっている。【前原淳】