東北福祉大の左腕・山野太一(4年=高川学園)が、無敗で4年間のリーグ戦を終えた。今秋は3勝止まりも仙台6大学歴代17位の22勝。20勝以上で負けなしは2人目の快挙だ。昨年は公式戦70回連続無失点を記録したドクターゼロの真価は、ギアチェンジにある。「調子がいい時はほとんど体力を使わない」。力感のないフォームから、直球とスライダーを軸に、巧みな投球術で相手を封じる。

高3夏の甲子園初戦で、履正社に1-5で敗れた。2回の4失点後は、寺島(現ヤクルト)と堂々と渡り合った。寺島、早大・早川ら同世代の左腕に対しては「レベルの差はあったけど、追いつき、追い越したいとやってきた」とライバル心を胸に秘めてきた。

5季連続優勝を決めた17日仙台大戦は、50人近いスカウトが駆けつけた。7回4失点と不本意ながら、最速を1キロ更新し150キロとした。大塚監督は「今更ここでどうこう言っているレベルじゃない。1敗もしなかった投手。感謝しかないです。杉内(現巨人コーチ)みたいになってほしい」と期待する。仙台の「負けない男」は、4年間の進化をプロで証明する。【野上伸悟】