崖っぷちでロッテが連敗を4で止めた。2点を追う6回、5番菅野剛士外野手(27)が勝ち越しの2点三塁打を放つなど、打者9人でつないで一挙5得点。7月21日から4番に置き続けた安田尚憲内野手(21)を7番に下げた井口資仁監督(45)のテコ入れに、ナインが応えた。3点劣勢をひっくり返す執念の逆転勝ちで、3位西武を2ゲーム差、4位楽天を2・5ゲーム差に引き離した。

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西日のまぶしさにゲームが1分間中断するという、珍事の直後だった。窮地を救う光はロッテ打線にも差した。同点に追いついた6回、なおも1死一、二塁。菅野は昨季まで同僚だった楽天酒居の144キロ直球を右翼線へ振り抜いた。「みんなが打って、つないでいた。積極的にいきました」。走者2人を迎え入れる決勝三塁打を演出した。

試合前、井口監督が動いた。「なかなかつながらない試合が続いていた。思い切って安田を後ろにしてみました」。大連敗なく10月中旬まで走ってきたが、6連敗後に1勝挟んで4連敗。4連敗中、打線は5得点。いずれもクオリティー・スタートを達成した先発投手に報いることができなかった。現状を打破しなければ、クライマックス・シリーズ(CS)切符は手に入らない。「よほどでない限り変えない」と辛抱強く起用してきた若き4番を、87試合ぶりに外した。

6回は代わって4番を務めた清田が四球を選び、菅野につないだ。菅野にも思うところがあった。優勝争いを続けていた10月頭、一番大事な時期に、チーム内の集団感染で新型コロナウイルスを患った。「無症状だったので、体は元気だったのに出られない。もどかしさはありました」。室内では軽めの素振りが精いっぱい。戻った時に力になるため、毎日仲間の戦いを目に焼き付けた。

左足首捻挫のマーティンはまだ練習できる状態になく、コンディション不良の井上も2試合連続欠場中。藤原にはこの日、休養を与えた。それでも1回5点以上は9月3日の西武戦以来、48試合ぶり。打線は文字通り「線」となった。井口監督は「1年間ベストオーダーを組めていない。それは言い訳にしかならない。トーナメントみたいな気持ちでやっていくしかない」。ここ5戦で2安打7三振だった安田も、ポストシーズンを見越して犠打含むチーム打撃の練習を重ねている。優勝は譲ったが、ソフトバンクをたたくチャンスはまだある。2位は絶対に譲れない。【鎌田良美】