日本ハム有原航平投手(28)が、夢の実現へ大きな1歩を踏み出した。日本ハムは26日、有原のポスティングシステムを利用したメジャー移籍を承認、申請手続きを終えたことを発表した。契約交渉期間は26日午後10時(米東部時間午前8時)から12月27日午前7時(同26日午後5時)まで。代理人としてカブス・ダルビッシュらも担当するジョエル・ウルフ氏と契約したことも判明。複数球団による争奪戦となりそうだ。

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日本シリーズ終了翌日の速攻劇で、有原がプロ入り前から志してきた舞台へ向けて動きだした。この日、日本ハムがポスティング申請を終えたことを発表。メジャー30球団に契約可能選手として通知された。獲得を希望する球団との交渉期限は1カ月後の12月27日午前7時(米東部時間同26日午後5時)までで、順調に進めば年内に移籍先が決まることとなった。

有原もメジャー挑戦へ向けて、着々と準備を進めてきた。この日までに代理人としてカブス・ダルビッシュやツインズ前田らを担当する米大手エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」のジョエル・ウルフ氏と契約したことが判明。日本ハムもシーズン終了後に本人の意向を容認し、早期の申請手続きが可能となるようにメディカル関係も含めた申請に必要な資料を準備してきた。

28歳と若く、先発陣の中軸を担える本格派右腕は、複数球団による争奪戦になることが予想される。先発陣の層が薄いパドレス、レンジャーズ、ジャイアンツ、レイズが本格的な調査を進めているとみられる。

パドレスは日本ハムと08年から17年まで業務提携を結んでいた。有原も日本ハムが16、17年に実施したアリゾナキャンプに参加した際にパ軍の施設を利用した。レンジャーズは18年から日本ハムと業務提携を結ぶ。本拠地のテキサス州には17年にトヨタ自動車の北米本社が移転したことで日本人コミュニティーも拡大し、日本人選手への需要が高いことも予想される。また、有原が慕う日本ハムのスペシャルアドバイザーを務める田中賢介氏が13年に在籍したジャイアンツやレイズも興味を示す可能性がある。

コロナ禍の影響などで米球界の移籍市場も不透明な中での早期申請は、勝算があると見込んでいるからこそ。早い時期に契約を勝ち取れれば、来季へ向けた準備もいち早く進められるメリットもある。昨年12月4日の契約更改の席で正式に球団へ思いを伝えてから約1年。「早く行けるに越したことはないので」と広陵高(広島)時代から目指してきた舞台へ、羽ばたく時が来た。

 

◆移籍先候補の投手事情 パドレスとレンジャーズはともに先発投手の補強を目指しており、有原の獲得に乗り出す可能性がある。パドレスは、今季途中にインディアンスから獲得した右腕クレビンジャーがトミー・ジョン手術を受け来季絶望となった。上位ローテのラメット、デービーズ、パダックの3右腕はいずれも20代と若く、ラメットは故障明け、パダックは今年8月以降に低迷するなど不安が残る。

レンジャーズは通算104勝のエース右腕リンを擁しているが、契約最終年のためトレードで放出する可能性が浮上している。さらにベテランのギブソンとライルズの両右腕は今季苦戦し、4番手以降も若手の台頭に頼らざるを得ない状況だ。

他にはローテ投手3人がFAで抜けたジャイアンツやレイズが移籍先候補に挙がる。レイズは右腕モートンがFAとなり、エース左腕スネルは高額年俸のためトレードで放出される可能性があると報じられた。