主砲田淵幸一捕手の特打に、小山正明投手コーチが登板した。

安芸キャンプでシート打撃が行われたが、田淵は3打席2打数ノーヒットに終わった。「初めはあんなもんですよ」とは言ったが、練習後「フォームのバランスが取れていない」と居残りで特打を行った。

これにひと肌脱いだのが小山コーチ。現役を引退して、この年からコーチに就任したばかり。「精密機械」と呼ばれた320勝右腕から、田淵は36スイングで柵越え2本。「もっといい球を投げればポンポン入るんだが、球が落ちたり沈んだり…」と同コーチは恐縮。

他の投手相手含め84スイングで7本の柵越え。特打を終えた田淵は「左対策としては今は内角ばかり。キャンプが終わるまでに2回は特打を申し出る」と話した。74年は自己最多の45本塁打を放っている。