大記録は止まっても、大きな1歩を踏み出した。8年ぶりに楽天へ復帰した田中将大投手(32)が今季初登板に臨み、日本ハム中田に先制2ランを浴びるなど2本の本塁打に泣き、5回4安打3失点。黒星を喫し、12年から続いた国内シーズンでの連勝記録は28で止まった。右ヒラメ筋損傷で3週間遅れで自身、ファンともに待望の“開幕”。収穫と課題を糧に、次回登板の24日西武戦(楽天生命パーク)で今季初勝利&NPB通算100勝を狙う。

    ◇    ◇    ◇

“神の子”は、細部に魂を宿している。楽天田中将は8年ぶりの日本球界復帰にあたり、今季から「日本仕様」のアディダス社製スパイクを着用している。大きな特徴は3点ある。

<1>歯 昨季と比べ前足部は5本のままだが、かかとを3本から2本に減らした。軽量感を増加させながら安定性を保つため、設置箇所もかかと側へ下げ、それぞれの間隔を離した。

<2>ソール 昨季からビート板や緩衝材などに使用される「EVA」と呼ばれる合成樹脂のクッション材を全面に使用。他選手より全体で5~7ミリほど厚い。特に体重のかかる前足部はより厚くなっており、地面からの突き上げによる足元への負担軽減を狙う。

<3>アッパー 足の甲を覆う素材をエナメル合皮に今季から変更。フィット感を増加させ、米国に比べやや軟らかいとされる日本のマウンドへの順応を促進させた。

同社とは08年からスパイク用具契約を結ぶ。毎オフ、ミリ単位で足のサイズ、形状などを計測。今季モデルは昨年末からセッションを重ね、1月の自主トレでアッパー、ひもの素材、長さなどを変えた2足のサンプルを試着し、ベストな1足を求めた。

楽天で日本一となった13年当時は約350グラムだったが機能の進化も伴い、現在は約300グラム。他投手より比較的多い年間約15足を着用する。同社スポーツマーケティングマネジャーの鈴木章弘氏は「理想の脱力感で投げられるように、毎年細部にこだわってる」と話す。開幕前に右ヒラメ筋を損傷。担当者もスパイクに原因がないかヒアリングを重ね、当初準備したモデルでデビュー戦を迎えた。されど1本、されど1ミリ-。究極の1足とともに、輝かしい足跡を残し続ける。【桑原幹久】

楽天ニュース一覧はこちら―>