ソフトバンク和田毅投手(40)が、球団記録を塗り替えた。6回途中1失点の好投で、チームトップの今季2勝目。40代での複数勝利は、球団史上初だ。最後は左手親指の爪が割れ、不本意な降板となったが、首位を争う楽天相手に堂々の投球を披露した。

圧巻の投球だった。初回から3回まで、1人の走者も許さない完全投球。今季最速タイの146キロもマークした。好投を続けていた6回、先頭岡島にソロ本塁打を浴び、1死から小深田、小郷に連打を浴びたところでアクシデント降板。「相手の則本君もすごく良い投手なので、先制点を与えないように集中して丁寧に投げました。ただ、あのような形で降板してしまい、中継ぎ陣に申し訳ない」と悔しさをにじませた。

大ベテランの域に達してなお、さらに進化を遂げようとする探究心が和田の最大の強みだ。「維持しようとは思っていないですよ。常に更新していかないと」。今年1月の自主トレで、初めてピラティスを導入。「もう1度、細かいところを見つめなおさないと。年齢的なことを考えても」。後輩からも貪欲に学んだ。16歳年下の笠谷にナックルカーブの投げ方を教わり「(カーブは)課題にしていた。もっと武器になってくれれば、楽に試合運びもできる」と、レベルアップを図った。

昨年は8勝1敗の成績を残し、オフには大ベテランとしては異例の2年契約を結んだ。「松坂世代」と呼ばれる同世代は昨年、阪神藤川らの引退で西武松坂と2人だけになった。和田は「彼らのように、やりきって、悔いなくやめられるようにしたい」と言った。工藤監督も「40代で規定投球回数にいって、2桁勝って、貯金を10個くらい作ってくれたらうれしいです」と大いに期待。まだまだ和田の挑戦は続く。【山本大地】