ロッテ佐々木朗希投手(19)が16日、西武戦でついに1軍デビューした。大船渡高時代の投手仲間、和田吟太さん(駿河台大2年)もZOZOマリンに応援にかけつけた。「ファンの皆さんに愛されてるなって」。マウンドの友に送られる万雷の拍手が、自分のことのようにうれしかった。

思い出の試合がある。19年5月18日、高3春の県大会1回戦。朗希はライト、和田さんが先発を任された。沿岸南地区予選で両足をつりながらも8回無安打無得点を達成。流れは来ていた。「調子に乗ってましたね。それにその日、自分の誕生日だったんです。誕生日なら変にはいかないだろうって思ってて」。

ところが初回、いきなり6連打4失点。自信は砕かれた。初回を終えベンチで捕手と反省していると、朗希が来てひと言。「インコース投げなよ」。2回以降、その通りに内角を使うと全く打たれなくなった。

野球は高校まで、と思った時期もある。でも中高6年間を共有した朗希のドラフトが近づき、考えた。「なんか変な話ですけど、朗希がやってるのに自分がやってないのも、っていう気持ちが」。投手・和田吟太のアイデンティティーには逆らえなかった。

柔らかな笑顔の裏に、強い信念を秘める。「朗希にも他の友達にも言ったことないんですけど、負けたくないなっていうのがあって。野球って、抑えてゼロにすれば一緒じゃないですか、速くても遅くても」。負けず嫌いの朗希にも、負けたくない。10代の最後に、追うべき友の投球から強烈なメッセージを受け取った。和田さんは今日18日、20歳になる。【金子真仁】