役者が違う。ロッテ藤原恭大外野手(21)が、ひと振りで空気を変えた。

2回に1番荻野貴司外野手(35)の適時打で同点に追いつき、なおも2死二塁。ロッテファンのざわめきが残り、球場の空気がふわふわと定まりきらない中で、打席の藤原だけはいつも通りだった。

「同点から(打席が)回ってきたので、思い切って初球を打ってやろうと思っていました」

オリックス田嶋の直球を狙っていたが、投じられたのはスライダー。しかし「たまたまタイミングが合った感じで」と、フルスイングの軌道に白球が乗った。打った瞬間それと分かる弾道になり、勝ち越しの3号2ランに。同点のざわめきはそのままクレッシェンドで大きくなっていき、右翼席へ吸い込まれると同時に最高潮に達した。

首位オリックスに対し、シーズン再開から2試合連続で序盤に先制を許した。雨も降り、スタジアムに漂う何とも重たい空気を振り払った。

フォームが固まりきらず、エキシビションマッチの後半には「いまいち、パッとしないですね」と苦笑いすることもあったが、公式戦で大きな仕事をやってのけるのは、さすがのメンタルだ。「何とか修正できていると思うので。ここからもっともっと状態も上げていけると思います」と強く口にした。【金子真仁】