元守護神が完全復活だ。中日田島慎二投手(31)が、4年ぶりの白星を手にした。3点リードの5回に2番手登板し、1回をピシャリ。

「ベンチで(4年周期の)オリンピックって言われました」。17年8月10日の広島戦(ナゴヤドーム)以来、1472日ぶりの白星に笑みがはじけた。

先発ロドリゲスが4回2失点ながら、93球を投じたことで出番がきた。先頭2番糸原を二飛に打ち取ると、3番サンズにはこの日最速149キロの直球を交え三ゴロで料理。主砲大山は148キロの直球で空振りの三振と、強力上位打線を完璧に抑えた。「ブルペンでも腕が振れていた。相手打者より、自分のボールをいかに投げるかを考えた。3人で戻れてよかった」。

今季西武平良に破られたが、16年に開幕から31試合連続無失点の日本記録を樹立。17年には不動の守護神「タジ魔神」として34セーブを挙げた。だが、その後は下降線。20年4月に右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建手術(通称トミー・ジョン)を受け、長いリハビリ生活が続いた。昨年11月から投球を再開。そして今年7月12日の敵地広島戦で復帰マウンドを踏んだ。「(術後は)投げている質感が変わった。まだ腕を振れる感じがある」と自らのバージョンアップも実感。国内FA権資格取得条件を満たした18日の広島戦に続き、後半戦2戦連続無失点で存在感を発揮する。

かつての守護神は、福、祖父江、又吉、R・マルティネスの勝利の方程式を先導する。「僕の準備や練習を誰かが参考にしてくれたらいい」。首位阪神に連勝した竜に、頼もしい役者が帰ってきた。【伊東大介】

◆田島慎二(たじま・しんじ)1989年(平元)12月21日生まれ、愛知県出身。中部大第一から東海学園大を経て、11年ドラフト3位で中日入り。救援投手として頭角を現し、16年から3年連続でチーム最多セーブを挙げた。181センチ、84キロ。右投げ右打ち。