ドラ1右腕が2ケタ背番号に返り咲いた。

巨人鍬原拓也投手(25)が30日、支配下選手契約を結び、「029」だった背番号は昨季まで背負った「46」となった。リモート会見では「まずホッとしているのと、これからもっと、今まで以上に精進していかないとな、という気持ちでいます」と素直な心境を明かした。

悩み、苦しみ抜いた上での支配下復帰だった。17年にドラフト1位で中大から入団したが、1年目は6試合で1勝止まり(2敗)。2年目の19年は15試合で未勝利に終わった。奮起を期した昨季はサイドスローに転向したが、8月12日のイースタン・リーグ日本ハム戦(鎌ケ谷)で右肘の違和感を訴えて降板。「右肘の肘頭骨折」と診断されて手術を受け、オフに育成選手として再契約していた。リハビリ期間中は、投球再開のメドがたたずに「(肘の骨が)またくっつかなくて投げられないんじゃないかな」と不安に襲われる日々も過ごした。

転機は今年1月の自主トレ期間中だった。中大の先輩でもある阿部慎之助2軍監督(42)に、腕の角度を上げてスリークオーター気味のフォームで勝負したいと相談した。「お前の悔いのないようにやればいい」と言葉をもらい、腹が決まった。「そこで決心して、サイドスローではなく、腕を上げてやることを決めました。僕の中ではストレートで勝負したいというか、ストレートでファウルをとったり、ストレートで空振りを取ったり、そういう勝負をしたいと思ったので、もう1度フォームを上に戻して勝負したいということで言いました」と明かした。5月に実戦復帰すると、求めていた直球の威力が徐々に戻ってきた。フォームが固まって制球も安定。イースタン・リーグでは14試合に登板し、防御率3・64とアピールを決め、支配下登録期限の締め切り2日前に、2ケタ背番号をつかんだ。

1軍では、先発と中継ぎの両方の役割が期待される。阿部2軍監督からは「今まで以上に注目されるであろうし、責任を持ってやらないといけない」とまたもや金言を授かった。「手術前と変わらないストレートの強さであったり、変化球の緩急、そういうところを見ていただければと思います。もう1度チャンスを頂いたので、責任と自覚をもってしっかりやっていきたいなと思います」と決意を新たにした。【小早川宗一郎】

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