プロ3年目のロッテ小島和哉投手(25)がプロ初完封勝利を挙げた。日本ハム相手に4安打1四球6奪三振と危なげなく、自身最多8勝目も手にした。前夜にチームの連勝が「6」で止まったばかり。快投で優勝へと再び勢いづけた。試合後の第一声は意外にも、リーグトップの96ホールドを挙げているリリーフ陣への思い。熱い投球と言葉で、リーグ1位へ走るロッテの和をさらに強くした。

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声を出しながら完封へとアウトを重ねた小島も、試合後はいつも通り、穏やかなオーラを放っていた。

「中継ぎの皆さんを投げさせないで行けたので、それが一番です」

悩めるプロ3年目。開幕から5戦連続白星がつかなかった。「そこもしんどかったですけど、最近の2試合続けて4回1/3しか投げられなかった時も、自分的にはハァ~…ってなって」。先発として5回を投げきれない悔しさ、もどかしさ。打線は粘り強く、先発降板の逆転劇も多い。投手陣全体でのリーグ最多の96ホールドは、救援陣への負荷を示す数字でもある。

「益田さんを中心に必死に付いていこうという気持ちが今、強いので。1人でも中継ぎが投げないで終われるようにだけ考えて、今は生活しています」

生活-。そんな言葉さえ出た。先発投手として長いイニングを投げることに、全てを費やした。この日も攻めに攻めた。前回9月3日の日本ハムとの対戦で、特に警戒する近藤にはボール先行になった。

「結局ボール先行になっても(ストライクを)取りに行かないといけなくなってしまうので。取りに行くなら最初から行こうという気持ちですね」

この日の対近藤は4打席とも初球をストライクから入った。前後の野村、高浜とともに、クリーンアップを1度も出塁させなかった。捕手加藤と話し合い、チェンジアップを中盤まであえて封印。相手打線に右の長距離タイプが並ぶ中での決断だったが「加藤さんのリードを信じて、それこそ強気に攻める気持ちで」と心を乱さなかった。

帽子のつば裏には「強気で攻めろ!」と書き込み、何度も眺める。「マウンドの上では誰でも助けてくれないので。そういう時に、ちょっと弱気になってしまう自分がいるので」。

白球が指から離れた直後からは1人じゃない。中堅藤原の好プレー、7度のゴロをさばいた遊撃エチェバリア…。「エチェのプレーもすごく助かりましたし、2回も(藤原)恭大とか、みんなが僕の投げやすいような雰囲気やリズムを作ってくれたので」と終わってみれば感謝が尽きない。

「先週(の完投勝利の時)も言ったんですけど、明るい雰囲気で、その中でも締まりがあって、すごく良い雰囲気だと思うので、この流れでどんどん勝って行ければ」

お立ち台でそうファンに伝え、ダッグアウトに戻る。取材を受けていると、片付け後に引き上げる若手リリーバーたちの姿が見えた。佐々木千隼、小野、東妻…。次々に勢いよく、目で笑いながら無言で、こぶしを突き上げている。

完封の充実感や感謝を口にしながら、少しだけ口元を緩め、何度もこぶしで返事した。【金子真仁】