借りを返した。ロッテ佐藤都志也捕手(23)が殊勲のサヨナラ二塁打で、チームに大きな先勝をもたらした。同点の9回1死二塁から代打で決めた。10月27日の楽天戦(楽天生命パーク)では、同じく代打で最後の打者となり、敗れて優勝が消滅していた。リーグ制覇は逃したが、日本一への切符は譲らない。

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10日前に空を切ったバットが、今度はジャストミートした。同点で迎えた9回1死二塁、佐藤都は代打でコールされた。148キロの真っすぐを右へ。強くたたいた打球が右翼手横を抜けてフェンスまで転がった。右拳を突き上げて勢いよく一塁を踏み込む。「うれしさ爆発です!」。観客までも大興奮に巻き込んだ。

同じ9回、代打、宋家豪-。フラッシュバックしたのは10月27日の楽天戦。1点ビハインドで、2死から空振り三振した瞬間、2位が決まった。「ほんと悔しかった。負けられない戦いで最後の打者になって、チームに迷惑掛けました」。

代打で酸いも甘いも知った。昨年6月のプロ初安打は代打サヨナラ打。人生初のサヨナラ打だった。約5カ月後、CSファイナルステージでは最後の打者になり敗退した。「去年の自分と比べると、駆け引きできたりとか、考えて打てる。ちょっと成長したのかな」。直前までは裏方さん相手に「自分がサヨナラ打ったらどうします?」と冗談交じりでリラックス。重圧を掛けず、打席に入ったら楽しんだ。

試合後、佐々木朗とハイタッチした。同期入団のドラ1は「ナイスバッティング」とたたえてくれた。降板後、逆転されても明るく振る舞っていた3歳下の右腕を見て、準備にも熱が入った。「同期としては今、天と地ぐらいの差の活躍ぶりですけど。自分も何とか、頑張っていければいいかなと思います」。出番はいつも、ミラクルが起こりがちな終盤だ。ドラ2が描くドラマは、日本一を決めるまで終わらない。【鎌田良美】

▼ロッテ佐藤都がサヨナラ二塁打。プレーオフ、CSのサヨナラ試合は12度目。佐藤都の23歳9カ月は、05年プレーオフ2S<3>戦の川崎(ソフトバンク=24歳4カ月)を上回る最年少のサヨナラ安打となった。代打でサヨナラ打点は19年CSの乙坂(DeNA)以来4人目。ロッテのサヨナラ勝ちはプレーオフ、CSを通じて初。ポストシーズンでは毎日時代の50年日本シリーズ<6>戦で、松竹の失策により8-7でサヨナラ勝ちして以来、球団71年ぶり2度目。