ヤクルト中村悠平捕手(31)が、日本シリーズMVPに輝いた。6番打者として、シリーズ打率はチームトップの3割1分8厘。守備でも、史上初の全試合2点差以内の接戦を好リードで支えた。この日の第6戦も、オリックス打線を1失点で防いだ。「タイムリーなんてどうでも良かった。勝てばどうでもいい。日本一になれて本当に幸せです」と喜んだ。

正捕手を再びつかみ取った1年だった。昨季はケガの影響もあり、出場は29試合にとどまった。「正直言うと、個人の方が最優先だった」と打ち明ける。チームの勝利のために全力を尽くすことは当然。だが、自身の立ち位置を確固たるものにしなければ、勝負の舞台に立つこともできない。定位置奪取へ、歯をくいしばって練習に励んだ。

古田敦也氏からの指導も受け、リードの考え方を大幅に改善。投手の持ち球の特徴に対する固定観念を取り払った。勝負球に決め球ではない変化球を使ったり、外角低めのセオリーにも固執しないように。新たな発想で、投手陣を引っ張った。

こみ上げる思いに、お立ち台の最後は男泣き。「チームメートの支えがあってこそ。周りの人に感謝したい。来年も日本一になれるように頑張ります!」と声を張った。【湯本勝大】

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◆中村悠平(なかむら・ゆうへい)1990年(平2)6月17日、福井県生まれ。福井商で甲子園2度出場。08年ドラフト3位でヤクルト入団。15年に自己最多の136試合に出場し、チームのリーグ優勝に貢献。同年ベストナイン、ゴールデングラブ賞。今季から背番号を52から2に変更。今季推定年俸9000万円。176センチ、83キロ。右投げ右打ち。