阪神は3日、梅野隆太郎捕手(30)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留すると発表した。複数年契約となる見込み。

この日、梅野は兵庫・西宮市内の球団施設を訪れた。残留の意思を正式に伝えたとみられ、梅野は球団を通じてコメントを発表した。残留理由について「今年あと少しのところで優勝を逃して本当に悔しい思いをして、やっぱりこのチームで優勝したい。その思いが一番でした」と明かした。「年齢的にも若いチームで、これからもっと強くなっていきますし、その中心でタイガースを引っ張っていきたい。このメンバーとこれからも野球をしたい、みんなと優勝したいという思いで残留することを決めました」と続けた。

8年目の今季は1年契約で臨み、開幕から不動の正捕手として前半戦の快進撃を支えた。130試合出場で打率2割2分5厘、3本塁打、33打点。得点圏打率は3割2分1厘と勝負強さも発揮した。ただ9月から打撃不振に陥り、シーズン終盤の優勝争いでは坂本にスタメンマスクを奪われた。ゴールデングラブ賞も3年連続で途絶え、悔しいシーズンでもあった。

11月10日には権利行使について「しっかり考える」と話し、FA権を行使して他球団の評価を聞いてみたい思いもあり熟考を重ねていた。FA申請の手続き期間は7日までで、締め切りが迫る中での決断となった。この点について梅野は「考えさせてもらう時間はたくさんいただいて、阪神球団の方にもたくさんお話をいただいた中で、自分自身で考えに考え抜いて出した結論なので、少し時間はかかってしまいました」と説明した。

173センチと小柄ながら、投手を安心させるブロッキング技術、強肩と高い守備能力を誇る。虎党から「梅ちゃん」と呼ばれ人気も高く、梅野は「タイガースファンの方々からの声や思いも届いていましたし、自分自身の決断を後押ししてくれました。来年こそはこのチームのみんなとタイガースファンのみなさんと、一緒に喜びを分かち合いたいです」と残留を願うファンの熱いにも感謝した。

梅野は後日、記者会見を開く。【石橋隆雄】

◆梅野隆太郎(うめの・りゅうたろう)1991年(平3)6月17日、福岡県生まれ。福岡工大城東-福岡大を経て13年ドラフト4位で阪神入り。1年目から92試合に出場。17年から3年連続100試合出場と正捕手の座に就く。19年4月9日DeNA戦で阪神捕手で初のサイクル安打。昨年まで3年連続ゴールデングラブ賞受賞。今季から背番号を44から2に変更し、東京五輪ではソフトバンク甲斐と2人で日本の本塁を守り金メダル獲得に貢献。173センチ、75キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億1000万円。