その一振り、1球にこだわって、さらなる打撃の道を追求していく。

西武栗山巧外野手(38)が9日、ランチ特打を実施した。なめらかに球をバットに乗せた。69スイングで13球がスタンドイン。「最初から全力でと思っていたが、その点はできなかった。本当は目標は1発目と思っていた。そこは残念だった」。3球目を流してライナーで飛ばすなど安打性の打球は多かったが、1、2球目は打ち損じ。だからこそ、満足できなかった。

例年と状態は「比べられない」。というのも「今までとは違う取り組み」と表現し、「1球1球をより丁寧により強く意識」をしているからだ。

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第1クールでは右足を上げたまま5秒以上、静止してから、ゆっくりスイングもしていた。「軸足に体重が乗りきってから、前に打ち込んでいく」。その基本となる形をじっくり体に植え付けた。左足の前にバットで地面にマークを描く姿もあった。「頭の軸がここにある」とのイメージを細かに確認した。「人工芝のグラウンドだったら、書けないじゃないですか」。土の練習場だからこそできる「工夫」を凝らす。毎年、キャンプの序盤には行っている確認だが、より細かく丁寧に意識を向け、己の打撃と向き合っていた。

昨季通算2000安打を達成した打撃の職人。まだまだステップアップを見据える。

「ここから積み重ねていく。どこまでいけるかと。自分がどう殻を破って、突破していけるのかと、今考えている。そういう意味では2000本安打がステップアップだったと前向きな気持ちになっている」

新戦力の台頭も待たれるチームだが、プロ21年目もまだまだ若い選手に負けるつもりはない。プライドと生きざまがにじむ。

「栗山がスタメンでおった方が勝てるだろ。そう思われる、そういう期待をしてもらえるようにしっかり準備をしていきたい。そうじゃない自分だったら、こだわりみたいなものは出せるものじゃないし」

こだわりの先に、プロとして結果が必要だとも知る。さらなる境地に進んでいく。【上田悠太】