一平ちゃん当確! 阪神小川一平投手(24)がプロ3年目で初の開幕ローテ入りを決めた。オリックスとのオープン戦(京セラドーム大阪)で7安打を浴びながら6回2失点と粘った。矢野監督はヤクルトとの開幕カードでの先発を明らかにし、第2戦が確実となった。2年目まで全て救援の右腕。ガンケルの調整遅れにより「ジョーカー」として白羽の矢を立てられ、ついに公式戦初の先発を射止めた。

【ニッカン式スコア】19日の阪神-オリックス戦詳細スコア

「ジョーカー」小川が矢野監督の本命になった。粘りを見せたのは5回だ。安打と連続四球が絡んで2死満塁のピンチを招き、昨年パ・リーグ本塁打王の杉本を迎えた。前の打席ではカーブをフェンスぎりぎりまで運ばれて左飛。カウント1-2から強気に投じたのは、そのカーブだった。バットに空を切らせると、自然とガッツポーズが出た。「長いイニングを投げて、勝ちでつなげたのが良かったかなと思います」。3者凡退は4回のみで7安打を浴びたが、緩急を使って96球でゲームメーク。オープン戦最終登板で役割を果たした。

試合後、指揮官の言葉の全てがジョーカーから立ち位置が変わったことを物語っていた。

矢野監督 落ち着いてきたよね、一番はね。やっぱり経験と結果っていうところで、本人も自信を持って投げてこられているのが、落ち着きに出ている。緩い球もうまく使いながら、高さも低くというところができている。そういうところの成長は安定しているところはあるかな。

そして…。開幕カードを託すかと聞かれると「もちろん」と明言。第2戦の先発が確実となった。

チームの救世主だ。これまで中継ぎと先発の両にらみで調整を進めてきた。4日の楽天戦は中継ぎで3回無失点と好投した。しかし、開幕ローテ候補だったガンケルがキャンプ終盤の腰の張りで調整が遅れることになり、小川は白羽の矢を立てられた。8日から先発の調整に入り、13日の巨人戦で1軍初先発し4回2安打無失点とアピール。さらに開幕投手に決まっていた青柳が新型コロナウイルスに感染する緊急事態も重なり、手薄になった先発陣で欠かせない存在になった。

次は26日ヤクルト戦。「考えすぎると緊張しちゃうんで、考えすぎないように自分のペースでやっていけたら。チームが1勝できるように自分の中では意識して投げていきたい」。3年目の一平ちゃん。1軍公式戦の先発デビューが開幕カードという、最高の舞台に上がる。【三宅ひとみ】

▼阪神のオープン戦7連勝は、07年3月14日中日戦から同22日横浜戦にかけて8連勝して以来、15年ぶり。下柳、能見、江草ら左腕先発陣が順調な仕上がりを見せ、打線では鳥谷、赤星、関本らが快音を響かせた。なお公式戦では優勝の巨人に4・5差の3位だった。

▼オープン戦で大型連勝し公式戦でも優勝した近年の例としては、14年のソフトバンク。オープン戦で13連勝(2分け挟む)フィニッシュし、公式戦ではオリックスとの死闘を制し優勝。日本シリーズでは、CSを突破した阪神を退け、日本一となった。