西武内海哲也投手兼任コーチ(40)が史上92人目の2000投球回に到達した。今季初登板、初先発で5回を3安打1失点。マウンドを譲った後の6回にチームは逆転され、40代での白星はお預けになったが、念願の節目にたどり着いた。

2点リードの4回2死。記録まであと1人の場面で、宇佐見に右翼へソロを浴びた。続く石井の三塁ゴロを中村がエラー。嫌な流れに豊田投手コーチらがマウンドへ集まった。経験がある。そこで崩れない。続く谷内を三ゴロに仕留めた。ベンチに戻ろうとすると、記念のボードを渡された。ベルーナドームは祝福の万雷の拍手に包まれ、何度も頭を下げた。

これまでプロ19年で通算投球回は1995。記録は意識しないはずだった。ただ、登板後は思わず本音があふれ出た。

「長く野球を続けてきたからこその通算2000投球回。何が何でも達成したい、と実は思っていました。それを今シーズン初登板で達成することができてよかったです」。

通算135勝と実績十分な左腕も、約11ヶ月ぶりの1軍マウンドは特別だった。ファームでは3試合に登板し、18イニングを無失点と好投を続けていた。しかし、前日6日に起床した時は「何かちょっとやっぱ違うな」と胸の高鳴りを感じた。「久しぶりの感じ」。いい緊張感が体を包んでいた。

美しいワインドアップから初回は3者凡退。ストライク1つに大きな拍手が湧いた。アウトを取ると、その音はより一段と大きくドームにこだました。18歳下のドラフト3位のルーキー古賀とバッテリーを組み、日本ハム打線を相手に丁寧に1人、1人に集中して投げた。ストレートは130キロ台後半が中心。それでも低めに集め続けた。ベースの幅も変化球の緩急も存分に使い、バットの芯を外した。

「ファームでやってきたことをそのまま1軍でも出すことができました。どの球種も良かったですし、全体的にバランス良く投げることができたと思います。試合前はものすごく緊張したのですが、古賀とはファームでも何試合かバッテリーを組んでいましたし、マウンドに上がってからは落ち着いて投げることができました」。

円熟の63球。念願の節目にたどり着いた。

▼通算2000投球回=内海(西武) 7日の日本ハム7回戦(ベルーナドーム)の5回、谷内を三ゴロに仕留めて達成。プロ野球92人目。初投球回は巨人時代の04年5月25日の広島10回戦(宮崎)。40歳0カ月での達成は史上4位の年長記録。