阪神ナインが8回、矢野燿大監督(53)の執念采配に応え、一気に4点を奪う大逆転劇を演じた。大山のこの日3本目となる12号ソロで1点差に詰め寄ったのが合図だった。今季最多4万2574人の甲子園はイケイケムードになり、糸原、ロハスの連打で1死一、二塁の大チャンスをつくった。

代打糸井が登場すると、ウグイス嬢が「長坂に代わりまして」とアナウンスするところを「ロハスに代わりまして」と間違い、あわてて訂正する中で打席へ。スタンドからのメガホンをたたく音は激しさを増すばかりの中、糸井はフルカウントから冷静に四球を選び満塁にした。続く代打山本が「ネクスト(次打者席)から絶対チャンスでまわってくるなと考えていたので、いい準備はできていた」と、日本ハム左腕堀ののチェンジアップに食らいつき一、二塁間を破り右前へ同点適時打。最大6点差を追いついた。

序盤に日本ハムBIGBOSSにやりたい放題にやられたお返しとばかりに、島田の1ボールからの2球目にスクイズを仕掛けた。1死満塁で三塁走者がスタート。ファウルとなったが、まさに執念だった。マウンド上の堀にプレッシャーをかけ続け、フルカウントから内角高め直球を見送り勝ち越しの押し出し四球を選ぶとガッツポーズ。「もう気合です。気合で見逃しました! 最高でした」。大歓声で甲子園は揺れ、ベンチのナインも総立ちで喜んだ。「ヤスさん(山本)が渋い1打を打ってくれたので、何とかみんながつないできたものを、絶対に僕もつなぐんだという気持ちで打席に立った」と、3試合連続で1番起用され3連勝を導いたラッキーボーイはお立ち台で笑顔で振り返った。さらに3番近本がさらに突き放す右前適時打で2点リードにした。6月は3戦全勝。8回の大逆転の4点は、6月反抗の象徴となりそうだ。【石橋隆雄】

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