6月の第3日曜日は「父の日」。ときに厳しく、そして優しく育ててくれた父との思い出、感謝をプロ野球選手たちが語った。

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静かな部屋でハサミの音がする。兵庫・佐用町にある楽天小深田大翔内野手(26)の実家では、それが親子のコミュニケーションだ。

父・浩さん(51)は理容室を営む。小さい頃からずっと父に髪を切ってもらってきた。今でもオフに実家に帰ると、髪を切ってもらう。「僕はあまり注文しないです。たまにパーマあててというぐらいですかね」。髪形はおまかせ。会話もほとんどない。静かに、ゆっくりと親子水入らずの時間が流れる。

仕事が終わると、いつも練習の手伝いをしてもらった。営業が終わる午後7時から約2時間。庭でのティー打撃。父はトスを上げてくれた。ボールは全部で20球ぐらいしかない。打っては集めて、打っては集めての繰り返し。毎日500球に達した。高校に入学するまでのルーティン。父の支えがあって、プロ野球選手になれた。

今でも試合で活躍すると連絡が来る。「応援してくれているので、結果を残せるように頑張ります」と意気込む。次に髪を切ってもらうときにうれしい報告ができるように-。「2番遊撃」として、攻守でチームを支えていく。【湯本勝大】