伏兵の1発が均衡を破った。西武平沼翔太内野手(25)がプロ通算2本目となる先制の1号ソロを放った。0-0の5回1死。楽天岸の真ん中付近の128キロチェンジアップを捉えた。コンパクトに振り抜いた白球は角度よく右翼へ伸びていく。「三塁まで行けるかな」。さすがにフェンスを越えるとは思わなかったから、全力で走っていた。しかし、気持ちのこもった打球は自身が思った以上に飛んだ。スタンドの最前列に届いた。

9番打者の思わぬ一撃が、CS進出を懸けた大一番を動かした。打球の行方を見届けた岸もがっくり肩を落とした。平沼は「とにかく塁に出てチャンスを作ろうと、コンパクトなスイングを意識して打席に入りました。ホームランになって良かったです」と振り返った。とにかく出塁を心がけていた意識が、最高の結果を生み出した。まさかの形に、ベンチも大盛り上がりだった。

敦賀気比では15年センバツの優勝投手にもなった平沼の1発は、日本ハム時代の19年7月26日以来。昨季途中のトレードで移籍後は初だった。3年ぶりのアーチは最高の場面で飛び出した。【上田悠太】

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