プロ野球の発展に大きく貢献した野球人に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が8日、都内で開かれ、オリックスを96年以来26年ぶり日本一に導いた中嶋聡監督(53)が選出された。球団では、96年仰木彬監督以来の受賞となった。

中嶋監督は今季レギュラーシーズン143試合で141通りのオーダーを組むなど、スタメンオーダーに工夫を凝らし、頂点に登り詰めた。オーダーは試合前練習で最終決定。選手の特長や状態を自らの眼力で見極めてきた。

救援投手の疲労も考慮し、今季3連投を経験したのは山崎颯のみ。その効果もあり、ポストシーズンでも救援投手が躍動し、日本一に輝いた。

10月30日の日本シリーズ第7戦(神宮)で1点差でヤクルトに勝利すると、三塁側ベンチで頭を抱えて喜んだ。歓喜の胴上げでは、指揮官を支える数多くの手が、土台となって大きな花を咲かせた。合言葉は「全員で勝つ!」。文字通り、戦力分析を行い、適材適所の役回りを与えた結果。「調子の良い選手を使って『全員で勝つ』。それをシンプルにやった結果です」と胸を張った。

◆正力松太郎賞 日本のプロ野球の発展に功績を残した正力松太郎氏を記念し、1977年(昭52)に制定。プロ野球界に貢献した監督、コーチ、選手、審判員を対象に、選考委員が選出。受賞者の最多はソフトバンク工藤監督の5度。04年米大リーグのシーズン最多安打記録を更新したイチロー(マリナーズ)、13年に24勝0敗でチーム初優勝に貢献した田中将大(楽天)、21年大谷翔平(エンゼルス)に特別賞が贈られた。賞金500万円、特別賞は300万円。