盗塁王に俺はなる-。DeNA森敬斗内野手(20)が8日、神奈川・横須賀市の2軍施設で行われた秋季トレーニングで、西武、巨人で活躍した盗塁王4度の経験を持つ片岡保幸臨時コーチ(39)から「走塁DNA」を伝授された。「盗塁王をとらないといけないと思っている。足があるぶん、走れないともったいない。40、50と走れる選手にならなきゃいけない」。

全体練習ではスタートやベースを蹴る際の体の使いかたなど、細かい指導を受けただけでなく「個人的に帰塁の仕方を聞いて、教えていただいた。帰塁に自信が持てればスタートも切れると思いますし、リードも出られると思うので」と意欲的。自身の弱点を、帰塁が不安なことによる精神面と自己分析し、足の使い方などの助言が大きなプラス材料となった。

今季は春季キャンプから1軍でアピールを続けて開幕スタメンを狙っていたが、オープン戦中の左足首捻挫などで長期離脱。復帰後も61試合出場で、わずか5盗塁に終わった。「失敗ばかり考えて悪いほうにいくので、成功するんだという気持ちですね。話を聞けて良かった」と手応えを得つつある。

片岡臨時コーチも森に対し「速いですよ、普通に」と50メートル5秒8の快足を認めた。一方で「速いんだけれどスタートが切れないのは失敗を恐れていると思う。若い子は失敗しても問題ないというか、失敗しないと覚えない。心の部分も彼には」と思い切りよくチャレンジする心の強さを求めた。自身もスタートを切ることが出来ない場面も経験しており「申し訳ないですけれど、チームのことは考えずにという時期もありました」。強みである走塁を生かすことがチームの勝利に直結すると信じ「失敗した数は、いまいる選手よりめちゃめちゃ多いと思っている。スタートを切ってみないと答え合わせが出来ない。それが自分の財産だと思っている」。そんな心構えでいたことも伝えた。

森にとっては、9日までのわずか2日間が片岡臨時コーチから吸収できる貴重な時間だ。「ありがたい機会だと思って、いろいろ話を聞こうと思います」。遊撃のレギュラー定着に向け、盗塁王から大きなワンピースを得てみせる。【鎌田直秀】